【特集2】DX認定制度 より低廉・安定的な電力供給へ 電気事業のデジタル化を支援

2023年12月3日

電気事業の効率化に向けて、国も電力会社のDXを支援している。

社会問題の解決や新たな価値を創造する電力データの活用にも期待を寄せる。

国民生活や産業活動に欠かせない電力を、より安定的、より低廉に供給するには、DXの推進などによる電気事業の効率化も重要である。

電気事業においては既に、デジタル技術を活用した発電・送配電施設の効率的な運用や経営革新、イノベーティブな商品・サービスの提供、また、電力データの有効活用などを進めている。経済産業省も、こうした事業者の取り組みを積極的に支援している。

情報処理促進法に基づく制度として、「DX認定制度」がある。デジタル技術による社会の変革を踏まえて、経営者に求められる対応をまとめた「デジタルガバナンス・コード」の基本的な事項に対応し、DX推進の準備が整っていると認められる企業を国が認定するものだ。

税制などでも電気事業のDXを支援する

認定された事業者は、企業がデジタルによって自らのビジネスを変革するためのビジョン・戦略・体制などが整っている状態と認定される。そのことにより、自社をアピールすることができる。

大手電力では7社(北海道、東電HD、中部、北陸送配電、関西、九州、JERA)がDX認定を取得。認定をバネにしてクラウドやAIの活用などによる高度なDXの取り組みが期待されている。

ほかにも経産省はDX投資促進税制など、さまざま施策で事業者のデジタル化を支援。「電力部門でも企業がデジタルを最大限に使いこなせる姿へと生まれ変わることは大変重要。引き続き各種の施策を通じて企業のDX推進を後押ししていく」(資源エネルギー庁電力基盤整備課)との方針だ。

電力データを有効に活用 高齢者の住宅難民化を阻止

10月2日、電力データ管理協会は、スマートメーターで得た電力データを有償で提供するサービスを東京エリアで始めた。匿名化された統計データや、需要家の同意を得た個別のデータを同協会会員の企業や団体に提供する。

企業・団体はデータを利用することで、CO2排出量の見える化や居住者の安否確認など、さまざまなサービスを展開することできる。例えば中部電力ミライズコネクトは、家賃債務保証事業などを手掛ける「Casa」と連携。入居者を見守るサービス「テラシテR」に家賃債務保証プランを加えて、不動産オーナーなどを対象に「ダイレクトワイド見守りプラン」の提供を首都圏でも始めた。

近年、高齢者の世帯数が増加し、不動産のオーナーや管理会社は孤独死を懸念して、高齢者への貸し出しを敬遠する傾向がある。見守りプランにより、入居者の孤独死発生のリスクを低減でき、貸し出しを容易にすることで高齢者の住宅難民化を防ぐことができる。

また電力データは、自治体の防災システムでも重要な役割を果たす。エネ庁は「自治体や事業者はぜひ電力データの持つ強みに注目し、防災や脱炭素をはじめとする社会問題の解決、新たな価値創造に活用していただきたい」(電力産業・市場室)と話している。