原子力事業所の万が一に備える組織 さらなる安全性確保への進化を続ける

2023年12月8日

【日本原子力発電】

原子力事業所に対し、多様かつ高度な災害対応を可能とする美浜原子力緊急事態支援センター。

万が一の支援活動に備えて、21人のメンバーは日々訓練と改良を重ねている。

福井県美浜町にある「美浜原子力緊急事態支援センター(支援センター)」は、2016年から日本原子力発電が主体となって運営している。今年10月に柏崎刈羽原子力発電所で行われた国の原子力総合防災訓練では、自衛隊との連携や原子力事業者との支援連携を行った。今回で4回目になる。

支援センターの役割は、万が一原子力事業所の施設で緊急事態が発生した場合、高放射線下で事故の収束活動を行うことと、要員の被ばくを可能な限り低減すること。緊急時には、放射線が高く立ち入りが困難な場所での活動となるため、支援センターには小型・中型ロボット計8台、ドローン2機、無線重機3台といった、遠隔操作が可能な無線資機材を備えている。

ロボットはがれきをアームで撤去しながら建屋内を進み、偵察を行う。ドローンは高所からの情報収集を担い、可視カメラや赤外線カメラ、放射線測定器を搭載し、サーモグラフの映像で漏れ出る液体などを映し出すことや、屋外の線量測定を行う。無線重機は線量の高い屋外でがれきの撤去作業などを行う。支援センターの約2万6000㎡の敷地の屋内外ではこうした無線資機材の訓練が日々実施されている。

各資機材の無線の飛距離は100m程度のため、操作はそれぞれの資機材から近い場所に被ばくを防ぐ設備を施したコントロール車を配備。資機材に取り付けたカメラの映像を頼りに、車内から操作用PCとハンドコントローラーで操作する。

訓練は、停電下でがれきが散乱した建屋内での作業など、予想されるあらゆるシチュエーションを再現して、繰り返し行う。原子力事業所を保有する電力9社と日本原燃からの出向者は、1年以内にこれら全ての資機材の操作を指導できるレベルにまで身に付けるほか、資機材のより有効な活用方法や、作業時間を短くする対策に取り組むのが任務だ。

コントロール車内から映像を見ながら重機を操作する


原子力事業者と協働で対応 想像力働かせ訓練と改良

万一の事態が発生すると、6人3班体制の緊急出動隊を編成する。輸送は各資機材や食糧、備品などを積んだ大型車両など12台で現地の災害対策支援拠点に向かう。陸路を基本とし、状況に応じて空路の併用もできるよう、支援センター内にはヘリポートを備える。

支援センターには3人が残り、事業者の災害対策本部との支援内容調整や、自治体や自衛隊との調整窓口、追加資機材の調整などを担当する。こうした現場のイメージをつかむため、冒頭で紹介した連携訓練などでは、実際に資機材を運んで訓練している。

総括グループの井関雅喜GMは「私たちは実際に出動することがあってはならない組織。さまざまな状況を想定し、考え続け、新たな視点や発想を取り入れて具現化することがモチベーションになっている」と話す。フランスやドイツにもチョルノービリ原発事故後に設立された同様の組織がある。10月にフランスで開催された情報交換会では、支援センターの取り組みについてプレゼンテーションを行い、最新知見の共有や共通の課題を議論した。

原子力事業所は安全確保のためにさまざまな安全性向上対策に取り組んでいる。支援センターは、万が一の時にも被害の拡大防止に資する組織として、たゆまぬ訓練と改良を日々重ねている。

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