再エネ時代の新しい調整力に 神奈川県内でVPP形成促進

2023年12月14日

【神奈川県/東京電力エナジーパートナー】

カーボンニュートラル(CN)な地域社会の構築に向け、太陽光発電など地産地消型の再生可能エネルギーの一層の普及拡大が欠かせない。同時に、気象条件で出力が変動する再エネを最大限に活用するには、需給バランスのための調整力確保も、重要な課題だ。

神奈川県は、再エネ大量導入時代を見据えた新たな調整力として、デマンドレスポンス(DR)など需要側の使用量を供給に合わせてコントロールするVPP(仮想発電所)に着目。2022年度に「VPP形成促進事業(神奈川VPP)」をスタートさせた。

神奈川VPPに参画する松岡の東京湾岸物流センター

運営事業者として選定された東京電力エナジーパートナー(東電EP)が、参加する産業用需要家を募集。需要家の電力使用状況を把握するために必要な計測・制御機器の導入費用の3分の1を県が補助する。DR事業者であるエナジープールジャパンが日々の運用を担い、需給バランスに合わせたDRの発動を支援する。

現在、需要家として約15社が参加しており、最終的には150~200社まで増やしたい考えだ。

総合物流サービスを手掛ける松岡が運営する冷蔵・冷蔵倉庫「東京湾岸物流センター」(川崎市川崎区)は、今年度神奈川VPPに参画した事業所の一つ。倉庫の規模は約8万tと国内でも最大規模で、首都圏向けの輸入冷凍・冷蔵食品の一大物流拠点となっている。

「特に冷蔵品は、温度管理がシビアで、一歩間違えれば商品価値を落としてしまいかねない。そういったことを勘案しながら、DRに協力している」と語るのは、同センターの谷本明所長。同センターでは、DRの発動に合わせて倉庫の設定温度を調整しているが、荷主との間で決められた範囲内で保管しなければならず、商品管理に支障がないよう調整しようとすると、必ずしもDRの目標を全て達成できるわけではない。「需要側をコントロール」して需給バランスを調整することは、一筋縄ではいかないことがうかがえる。


期待される上げDRの拡大 インセンティブの創出が鍵

さらには、現在は電力の不足時に需要を抑制する「下げ」DRがメインであり、今後は再エネの出力増に合わせて使用を促す「上げ」DRに対応する必要がある。とはいえ、上げDRのインセンティブ料金体系は不確実性もあり、現状では需要家の協力を得る難しさも否定できない。

課題もあるが、東電EP法人営業部DR推進グループの小林淳マネージャーは、「新たな料金メニューの開発も含め、エナジープールジャパンの欧州の知見・AI予測技術などを活用し、5年間の事業期間の中でトライ&エラーを繰り返しながら実効性を高めたい」と、同事業を足掛かりとしたVPPの拡大形成に意欲を見せる。