【特集2】太陽光発電の戦略を深掘り グローバル企業の脱炭素化を支援

2024年1月3日

東京ガスエンジニアリングソリューションズ】

グループ全体で再生可能エネルギー導入量の拡大・運用を目指している東京ガス。とりわけ、ここ数年の太陽光発電を巡る動きは活発だ。「太陽光発電設備のAI活用」「メガソーラーの設計施工」「エネルギーサービスにおける再エネ運用」―の三つの取り組みを紹介する。

東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)は2022年9月、東京センチュリー、京セラコミュニケーションシステムと共に、太陽光発電事業に関わる新会社、A&Tm社を立ち上げた。FIT制度がなくなり、再エネの導入にブレーキが掛かる懸念がある。その中で、太陽光発電設備をいかに効率良く運用して、再エネ導入の拡大につなげていくか―。

そんな問題意識から、太陽光発電設備のアセットマネジメントや、テクニカルマネジメントの提供によって太陽光発電事業者の収益性を高めることを目的に新会社を立ち上げた。まずは各グループ会社の設備を中心に運用を担っている。

A&Tm社の澤井創一社長は「新会社発足から1年ほど経過したが、順調に成果を出している」と手応えを口にする。現在、同社が運用に関わっている太陽光発電の設備容量は約69万kW。毎日、発電量などの運用状況のデータを収集し、最近は異常検知にAIも活用して運用している。このAI活用は、通常のアラームでは発報されないエラーを見つけ出しており、その効果は早速現れている。

例えば同じ発電サイトであるにもかかわらず、パネルの発電量のパフォーマンスにわずかな差が生じるケースがあった。調べてみると、雑草の生え具合によって影の生じ方が異なっており、エリアにより10%程度の発電量のロスを検出したため、除草シートなどで対応することを提案した。

また、このAIではパワコンの人為的な設定ミスを回避できるという。定期検査で実際の現場で人が作業する際、ミスは起こり得ること。複数台のパワコンのうち1台でも挙動が異なれば、すぐにそれを自動検知する。

このAIのアルゴリズムは既に完成しているそうで、今後、さらに改良を進めて効率化を図った運用システムとして展開していく方針だ。「その際、新たな異常を検知するケースがあると思うので、改善してパフォーマンスを向上させたい。1件当たりの異常値はわずかな数値だが、積み重ねれば大きな効果につながっていくはずだ」(澤井社長)

グループ初の大型太陽光 地元との関係構築に注力

2023年6月、東京ガスグループが設計から建設まで携わった国内初の大規模ソーラーが稼働した。栃木県の市貝発電所(2・19万kW)だ。この発電所は東京ガス100%子会社であるプロミネットパワーが開発したもので、TGESが設計・エンジニアリング・施工管理を担った。

グループ初の挑戦には、さまざまな苦労があった。本件は、ゴルフ場跡地に太陽光発電所を建設するもので、ゴルフ場という性質上、起伏に富んでいる。例えば1ホール目と18ホール目では設計や工法は異なるし、一つのホール内でも中身は違うものだ。TGESでは、地形測量や日射量測定を徹底的に行った。造成による環境負荷を最小限に抑えつつ、土地の起伏に対応した太陽光発電パネルの配置検討を行うことで発電量最大化を追求した。

TGESが労力を割いたのは、設計や施工の面だけではない。TGESエンジニアリング本部副本部長の中島秀明・執行役員は「地元の住民の方々とのコミュニケーションも積極的に行った。地元の住民の方々からすれば『一体どんな工事をするのだろうか』と不安を抱くもの。施工管理を担う会社として、工事の内容について丁寧に説明してきた。そのかいがあったからなのか、住民の方々から新鮮野菜を頂戴することもしばしば(笑)」と振り返る。

最近、トラブルが多発する再エネ開発。オーナーの目線に立ったサービスで、地域に受け入れられる再エネビジネスに力を注ぐ。

TGESの事業展開は、巨大な熱源プラントを扱う地域冷暖房の運用に始まり、コージェネを軸にしたエネルギーサービスへと発展させてきた。脱炭素時代に向かう中、再エネ商材を扱うケースが増えている。岡本和久・取締役常務執行役員は「再エネ設備も加えながら、総合ユーティリティー事業として、あらゆる商材を扱いながらお客さまの脱炭素を支援していくステージに入ってきている」と話す。

ゴルフ場跡地に建設した市貝発電所

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