【特集2】製造から販売まで一気通貫 蓄電池の力で再エネ普及を推進

2023年1月3日

【パワーエックス】

エネルギー業界の新興企業、パワーエックスが大型蓄電池の出荷を開始した。製造から販売まで垂直統合の事業戦略で、「再エネ&蓄電池」による脱炭素を進める。

再生可能エネルギーの普及を裏方として支える大型蓄電池。この普及に向け今、地殻変動が起きようとしている。仕掛けるのは日本のエネルギー業界の新興企業、パワーエックスだ。

同社の伊藤正裕社長は2023年11月、報道機関向けに開催した発表会で「中国企業などと比べてもコスト競争力があると思っている。蓄電池を国内で自社製造し、ユーザーまで一気通貫で製品を届ける当社の強みを発揮したい。そして、蓄電池を駆使して国内の電気料金をさらに安くする」と力強く語った。同社は「メガパワー」と呼ぶ2700kW時の大容量タイプの蓄電池の出荷を12月から始めている。

電池制御などソフトウェアも自社開発しており、制御のソースコードを把握しているから、仮に数年後に製品故障が発生しても、すぐに原因を究明できるそうだ。IoTを活用して24時間365日、遠隔監視してメンテナンス体制も整え、無償修理20年の「あんしん保証パック」もメニューとして用意する。

定置用として販売するほか、電力網に直接つなぐ系統用蓄電池としても普及させる考えだ。

この系統用の運用は、自社開発のソフトウェアを搭載した「蓄電所AI」サービスでサポートする。再エネ電気の余剰分を吸収するなど、充放電の制御を自動で最適化する仕組み。電力市場への手動による入札作業など不要だ。

発表会で伊藤社長は「垂直統合型」と数回にわたり強調し、「このモデルこそが最大の強みで、新しいエネルギー事業のモデルでもある」と話した。

モノ売りにとどまらない 自らも電力販売に進出

この事業モデルは、「モノ売り」にとどまらないことも特徴だ。同社自らも、蓄電池を使って法人向けに電力を販売する「X-PPA」サービスを始める。

昼夜問わず放電できる蓄電池の強みを生かす。日中の再エネ電源から蓄電し、電力需要の高まる夕方以降の時間帯に「夜間太陽光」電気としてオフィスビルや商業施設などに供給する。

東京電力管内を中心にまずは1500kWを募集し、24年8月から供給を開始する。契約期間は10年以上の長期契約を前提とし、1kW時の単価は25円程度を想定している。その後、順次エリアを拡大し、必要に応じて「非化石証書」なども活用するとしているが、その使用は極力減らすという。

この事業モデルに対し、国内の大手エネルギー事業者も関心を寄せている。同社の株主・出資社には、東北電力、四国電力、Jパワー、石油資源開発、ニチガス、関西電力系のグループ企業などが名を連ねている。

蓄電池を自社で製造・販売し、自らも蓄電池を活用して電力を販売する新しいエネルギーの事業モデル。再エネの普及にどこまで貢献できるか、同社の取り組みが注目される。

昼夜問わず放電できる蓄電池の強みを生かす