【特集2】30年目標に向けて再エネを導入 国内外で500万kW構築目指す

2024年1月3日

【大阪ガス】

大阪ガスはDaigasグループ全体における2030年度の再生可能エネルギーの普及貢献目標を国内外累計で500万kWと掲げている。23年11月には、その中間目標の250万kWを達成した。
同社グループでは、04年に国内の風力発電事業を皮切りに、再エネ事業を開始。国内では太陽光、陸上風力、洋上風力、バイオマスなど多様な電源開発を進めている。太陽光はメガソーラーなど大規模な開発用地が減少していることから、固定価格買い取り(FIT)制度を利用した電源の買収と新規開発の2方向から進めている。
新規開発では、デベロッパーと協業し、全国各地で中小型太陽光発電の建設を行い、コーポレートPPA(電力購入契約)により大阪ガスが電力を買い取って需要家に販売するスキームを展開中だ。
「ターゲットとなる需要家は通常の電気代に再エネのプレミアム分を許容できる企業・団体。大手を中心に対外的にPR効果を重視する企業が先行して購入していった」。再生可能エネルギー開発部開発第2チームの上地尚徳マネジャーはこう説明する。
中小型は造成工事が必要ない用地を確保して建設するため、大規模案件と比べると比較的容易に開発できる。しかし近年、系統容量が確保しにくくなり、系統接続工事にも時間を要するようになった。加えて、一般送配電事業者から接続要件の回答を受け取っても、発電事業者である大阪ガスと需要家が意思決定した後に要件変更が出る場合があるなど、開発事業環境は困難さが増しているという。

PPAで活況の中小型太陽光発電所


そうした中にあって、同社が手掛けたコーポレートPPAによる新規開発規模は今年度中に累計10万kW超に達する見通し。国内で手掛けている案件数や規模はトップクラスであり、今後も開発案件を増やしていく方針だ。


国内10カ所で風力発電 事業環境の変化に注意

風力発電は国内10カ所で陸上風力が稼働中。陸上風力は風況が良い地点が限られてきている中、開発案件に注力する。風力開発を難しくするのがリードタイムの長さだ。環境アセスに3?4年、建設を含めると7?8年かかる。これだけの時間を要すると世の中の情勢が変化してしまい、当初の計画通りに進まなくなる可能性がある。国でも開発期間を短縮できるよう議論を進めている。再生可能エネルギー開発部開発第1チームの水本桂輔マネジャーは「物価高など、開発案件の置かれている環境が変化し開発が進められないことも今後懸念される」と話す。実際、海外の洋上風力では落札したものの、建設コスト上昇に耐えきれず、開発を断念した事例もある。
洋上風力では23年12月、三井物産、RWEオフショア・ウィンド・ジャパン村上胎内とともに、経済産業省と国土交通省により海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づく「新潟県村上市及び胎内市沖海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域」における選定事業者に選ばれた。着床式洋上風力で出力は64・8万kW(38基)。「カーボンニュートラル実現に向けて、欠かせない電源」(藤原正隆社長)として、29年6月の運転開始を目指す。

印南風力発電所(和歌山県)


バイオマスは意思決定済みの案件が大型7件、中小型1件あり、建設と稼働を進めている。23年12月には、レノバと共同出資する「徳島津田バイオマス発電所(徳島県徳島市、7万4800kW)」、と同社100%子会社であるDaigasガスアンドパワーソリューションと九電みらいエナジーが共同で出資する「広畑バイオマス発電所(兵庫県姫路市、7万kW)」が運開した。広畑バイオマス発電所は輸入木質チップとパーム椰子殻(PKS)のほか、同社子会社のグリーンパワーフュエル(GPF)から調達する国産木質チップを使用。GPFが調達する国産木質チップは、林地残材・未利用間伐材などを活用する。GPFは、日本製紙の子会社の日本製紙木材、西信森林資源と国内の林地未利用木材などを発電用燃料として国産木質バイオマスの調達・販売を行うために設立された。上地氏は「20年という長期間にわたり発電所を運営していく。長期視点で安定供給と調達量の拡大を図るため設立した」と背景を語る。


海外のプロジェクトに出資 米国・豪州市場に期待

海外では、6カ所の太陽光発電所と1カ所の風力発電所のプロジェクトに出資する。このうち大半を占めるのが米国の太陽光発電所だ。米国はニューヨークに同社の現地法人があり、ガス火力への出資参画に注力してきた。このリソースを太陽光開発にも振り向けている。豪州においても、ゴーゴンLNGプロジェクトなどがあり事業拠点がある。これを足がかりに再エネ分野に進出している。
23年10月には、ACE Power Development Pty Ltdと、豪州東部で合計30万kW超の大規模集中型太陽光発電事業と合計50万kW超の蓄電池事業を共同開発すると発表した。豪州は日本と同様、50年目標で温室効果ガス排出量ゼロを掲げており、再エネ導入が進んでいる。家庭部門でも、屋根置き太陽光が普及し、昼間の電気料金が下がっている。太陽光で発電した電気の価値を上げるには、夕方以降の発電しない時間帯にピークシフトするしかない。蓄電池を導入し、電力系統の安定化に寄与する調整力として期待している。
資源・海外事業部再生可能エネルギーチームの田所克章ゼネラルマネジャーは「米国と豪州それぞれのマーケットに期待している。今後もこの2カ国を中心に開発を進めていくことになる」と話す。
グループ全体の30年500万kWという目標に向けて、大阪ガスは既存のリソースをフル活用するとともに即戦力採用なども行い、再エネ事業を推進していく方針だ。