再エネの主力電源化に向けて 適正な制御で系統連系拡大に貢献

2024年1月6日

【四国計測工業】

四国計測工業は培ってきた技術力で、再エネを適正に制御する「再エネ出力制御システム」を開発。

再エネ拡大の役割を担う同システムは多くの一般送配電事業者に採用され、芦原科学大賞も受賞した。

1951年に創立した四国計測工業は、電力量計、遠方監視制御装置などに始まり、近年では中央給電指令所、系統制御所などの電力ネットワークの需給・系統制御や、給電運用システムの設計、製作、保守を担っている。

同社が「再生可能エネルギー出力制御システム」の開発を始めたのは2016年。FIT(固定価格買取制度)の施行以降、太陽光発電(PV)設備の系統連系が急速に進展していた頃だ。日照条件に恵まれている四国エリアでは、ほかのエリアに比べ、比較的早期に再エネ発電を制御することが必須になると想定したことに始まる。

50万V基幹系統の給電制御から配電系統まで、同社が持つ電力安定供給を担う大規模システムの豊富なノウハウや高度な技術力を生かし、制御システムは約2年で完成。18年度初めに四国電力に納入した。同年10月には、九州エリアで本土初の再エネ出力制御が実施され、全国的に出力制御システム導入の機運が高まっていった。四国エリアでは22年度に初めて出力制御を実施した。

発電出力が需要を上回り、余剰電力が発生すると、電力広域的運営推進機関で定められた「優先給電ルール」に従って、①揚水発電の揚水運転と火力発電制御、②連系線を活用した他エリアへの送電、③バイオマス発電制御、④PV・風力発電制御、⑤水力、地熱などの長期固定電源の発電制御―の順で出力をコントロールする。

再エネが普及すればするほど出力制御は増えることになるが、だからといって再エネはもう十分ということではないと、系統システム部の平尾成良・再エネ制御システム課長は言い、こう説明する。「電力需要の少ない春や秋に一時的に制御しても、年間を通して見ると、再エネ設備の連系が増えれば活用の裾野は広がる。適正に制御すれば、国のエネルギー政策基本指針で、30年に再エネを電源構成全体の36~38%にするという目標達成への大きな役割を担える」。

再エネの裾野を広げたいと話す平尾さん(右)と正岡さん

公平に出力制御 制度改正にも速やかに対応

出力制御で最も重要なのは、「公平性」だ。連系の申し込み時期により、旧ルール(1年間に30回まで)、新ルール(1年間にPVは360時間、風力は720時間まで)、無制限無補償(制限なし)といった個別ルールがあり、この分類に基づいて公平に制御を割り当てなくてはならない。

制御システムは、中央給電指令所から翌日の制御必要量の指示を受けると、どの設備をどのくらいの時間制御するかを計算し、制御対象となる発電事業者に指令を発信する。連系時期が早く、通信で制御システムにつながっていないオフラインの再エネ設備の場合は、発電事業者に電話やメールで連絡し、翌日の制御操作を指示。手動で制御してもらう。出力制御機能付パワーコンディショナー(PCS)がついたオンラインの再エネ設備の場合は、当日、制御システムからインターネットなどを介して制御を行う。

現在、国の制度では原則として10‌kW以上の全てのPVが制御対象となっており、数万~数十万台を管理・制御することが求められる。出力制御機能付PCSはメーカーや機種ごとに仕様が異なる上、制御指示を一斉に取りに来るとサーバーに大きな負荷がかかる。

同社は、数十万台のアクセスに対応でき、インターネット接続時におけるセキュリティー対策など、信頼性の高いシステムづくりに注力し、公平性に加え迅速かつ適正な制御を実現している。

発電事業者の出力制御対応が難しい500kW未満のオフラインのPVについては、新しいルール「代理制御」に対応し、ほかのオンラインの事業者が代わりに制御する機能も備えた。

同社の制御システムは、既に多くの一般送配電事業者に納入済み。この実績について、平尾さんは「電力系統に係る給電運用システムに精通していることと、先行エリアへの納入実績が安心感になり、採用につながった。また、制御システムをパッケージ化して、低コストも実現している。導入までが短納期で、各社のシステム環境に合わせたカスタマイズができることも強み」と胸を張る。

最新技術の獲得に励む 芦原科学賞大賞を受賞

50年のカーボンニュートラル(CN)に向け、再エネ電源の増加とともに系統の混雑処理も始まりつつある。今後は送電線の空いている容量を活用して発電する「ノンファーム型」接続が始まる。

同社は、NEDOの実証事業「日本版コネクト&マネージを実現する制御システムの開発」に参画し、最新技術の獲得に励んでいる。実導入に向け、現在は実系統での実証段階に入ったところだ。 

系統システム部の正岡寿夫部長は「今は需給バランスのみの制御だが、系統制御のシステムも組み合わせることが必要になってくる。電力系統を有効に使うため細やかに制御して、システム面からCNに貢献したい」と話す。 

再エネ出力制御システムはこのほど、かがわ産業支援財団の「第30回 芦原科学賞」で大賞を受賞した。制御システムの開発と納入実績が、香川県内の産業技術の高度化と産業の振興に寄与したと高い評価を受けた。平尾さんは、「今後は蓄電池の普及や太陽光パネルの高効率化などへの対応で、制御システムはますます重要な存在になる。制度改定に継続的に対応し、電力の安定供給と再エネ拡大に貢献し続けたい」と、意気込む。

四国計測工業は、キャッチフレーズ「情熱は制御できない。」をマインドに、計測・制御を中心とする技術で未来に挑戦し、地域社会の発展に貢献していく。

再エネ出力制御システムの概要