【コラム/1月18日】2024年の制度設計を考える

2024年1月18日

加藤 真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長

この度の能登半島地震において被害にあわれた方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

また、電力をはじめインフラの復旧活動に尽力されている皆さまには、心よりお礼を申し上げます。

さて、2023年も慌ただしく過ぎ、24年が始まった。今年は、これまで審議を重ねてきた水素などやCCSの関連法案提出、改正再エネ特措法や容量市場、発電側課金など、多くの制度の施行、さらには次期エネルギー基本計画の見直しが着手される見通しとなっている。

今回は、24年に着目される政策・制度について取り上げてみることとする。

エネルギー関連の制度設計は依然として活発

昨年末、特に11月から12月にかけては多くの審議会が開催され、議論の取りまとめも行われている。特に月末に集中して開かれる傾向にあり、筆者が確認している審議会においては1週間で10件近く開催されるケースもあり、それだけ審議が必要な議題が多いということが分かるだろう。

2024年も多くの制度設計が行われる

24年も引き続き多くの制度設計が行われ、実行に移されることが想定されている。

1.GX推進のための施策実行

昨年はGX(グリーン・トランスフォーメーション)について、基本方針から関連法の成立、その具体的な制度設計、重要分野の投資促進策、必要な予算措置に至るまで、一気に政策が推し進められ、いよいよ今年は、その「実行元年」として動くことが期待される。

2月には世界初の国によるトランジションボンドとして、5年及び10年の2種類のクライメート・トランジション利付国債が発行する予定で、調達した資金は分野別投資促進策で整理された施策に投じていくこととなる(閣議決定された令和6年度当初予算では0.7兆円)。予算については今月に開会される通常国会で審議され、3月までに成立する予定となっている。

また、昨年5月に成立したGX推進法に基づき、GX推進機構が設立され、その中で、カーボンプライシングの具体設計が行われることが予定されている。今年度から本格運用したGXリーグでは試行的に排出量取引が始まっているが、26年度以降にその本格化、28年度に化石燃料賦課金、33年度に有償オークションの開始が予定されるところ、その詳細制度設計が着目される。

2.次期エネルギー基本計画の検討

今年は第6次エネルギー基本計画の公表から3年目にあたることから見直しの議論が行われる見込みとなっている。この3年間の変化(例えば、原子力政策の動き、再エネの案件形成や技術開発から系統・需給制約対応、事業規律の強化、需要側に焦点を当てたエネルギー政策など)を踏まえた政策の在り方や第6次計画で取り上げた30年のエネルギーミックス目標見直しの要否、COP28で議論された35年のNDC目標の設定、現在、広域機関で検討されている将来の電力需給のシナリオの反映等、多くの論点がある中で、日本として「あるべき姿」をどう組み立てるか、今後の検討が注目される。

昨年12月18日に開かれた総合資源エネルギー調査会 エネルギー基本政策分科会(第54回会合)では、まずは足元のエネルギー政策の状況と課題・対応策が話し合われている。

資源・燃料分野では、資源外交、水素等の導入促進、SAFなどの導入推進、CCSについて、供給側では、再エネの主力電源化と原子力の活用について、小売では、カーボンニュートラル実現に向けた電力・ガス市場の整備、需要側では徹底した省エネの推進が取り上げられている。それぞれ、既に実施中または検討中の施策がある一方、まだ着手していない課題もあり、エネルギー政策全体をにらみながら確実に対応していくことが求められている。

第一次石油危機から50年が経ち、次の50年をどう構築していくか。村瀬資源エネルギー庁長官の挨拶にも、この50年には当初想定されていなかったこと、例えば、原子力発電の実装、LNG活用のビジネスモデル、省エネなどが当たり前のようになっているとの話があったが、まさにカーボンニュートラルや脱炭素の実現が問われる中、さらには不安定な世界情勢や多発・激甚化する自然災害への対応を含め、あらためてエネルギーと産業・生活の在り方を考え、また新たなビジネスモデル等ができることが重要になるだろう。

3.資源燃料関係

水素などの導入を後押しするための値差支援や拠点整備支援、低炭素水素の基準策定、多用途に対応するための保安規制と、CCSの分離・回収・輸送・貯留というバリューチェーン構築と保安規制、双方に関する関連法案が通常国会に提出される見込みとなっている。

GX戦略における方向性が整理され、予算措置も取られる見通しとなっていることもあり、関連法が成立されれば、その普及に向けた取り組みは加速するだろう。

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