【特集2】エコキュート&エネファームが進化 脱炭素促すエネルギー有効利用

2024年2月3日

【電力・ガス業界】

電力業界が推し進めてきたエコキュート、ガス業界によるエネファーム―。両アイテムが市場に投入されたことで家庭用の給湯事情は大きく変わった。

2000年代初めにエコキュートが登場した頃、電力各社は深夜の割安な料金メニューを打ち出しながら、オール電化住宅とともにエコキュートを普及させていった。

片やガス業界は10年前後にエネファームの本格普及に向け本腰を入れてきた。11年の東日本大震災以降はレジリエンス性を強調し、停電時でも動くエネファームの普及に注力した。

これまでの累積導入台数はエコキュートのおよそ1000万台に対し、エネファームは50万台。イニシャルコストに差があるため普及に温度差があるのは仕方ないが、それぞれ高効率ヒートポンプ式給湯器、家庭用コージェネレーションという新しい市場を生み出した点で、電力・ガス業界が果たした役割は大きいだろう。

1000万台程度普及したエコキュート

今後、家庭用の脱炭素時代に向けた次世代への展開はどうなっていくのか―。電化の流れを受けエコキュートは再エネとの親和性を追求していくことになるだろう。戸建て住宅の屋根に設置した太陽光発電の自家消費を促していくような運用の仕組みだ。それを訴求していく電気料金メニューも生まれている。

エネファームはどうか。「エネファームは数万にも及ぶ部品から構成され、これまでに部品のブラッシュアップが進んだ。もしコストが高いからと諦めていたら、まともな部品も調達できず、現在の水素ブームに完全に乗り遅れていた」「停電時や災害時のエネルギー供給などレジリエンス性の観点からもニーズは大きい」。メーカーや業界関係者はこう口をそろえる。水素社会の本格到来を見据えた戦略商材になっていこう。

水素社会を担うエネファーム


VPP運用への期待 電力需給調整の役割も

また、両アイテムともにVPP(仮想発電所)といった新しい運用を支えていく分散型リソースとしての活躍が期待されている。

最近は、火力発電所側での燃料調達懸念や火力電源の減少、さらには電力需給のバランスを乱す再エネの大量普及など、電力不足や電力系統の不安定化が生じる機会が増えている。そうした際の電力需要の「上げ・下げ」の調整機能としての役割も期待されている。エコキュートには、再エネ余剰電力の吸収源としての役割もある。

新しい市場をつくり、そして進化してきた給湯アイテム。これらは、メーカーの協力も得て電力やガス業界が互いに切磋琢磨してきた成果でもある。今後も両技術開発の進展が期待される。