【特集2】スマメ普及で一変する家庭用 サービス内容の進化に期待

2024年2月3日

大手電力が導入を進めてきたスマートメーターは家庭用をどう変えるのか。

神奈川工科大学の一色正男特命教授にスマメ導入の意義や今後の展望を聞いた。

【インタビュー】一色正男/神奈川工科大学 研究推進機構特命教授

―スマートメーター(スマメ)の導入が進んでいる。

一色 旧一般電気事業者が頑張ってきた。約5000万軒の家庭用では導入が終わりつつある。家庭用のHEMSとつなぐBルートの無線方式としては現在Wi-SUN通信方式で国際標準通信規格であるECHONET Liteを採用している。どの家でも細かい電力使用量のデータを標準化された通信プロトコルで取れるようになったことは大変意義深い。

また2025年度から導入が始まる次世代スマメではWi-Fi通信も可能になるため、今後活用の幅が広がると期待している。

―スマメによって、家庭用のエネルギー利用の在り方、機器の使い方はどう変わるか。

一色 月1回だった検針値が、スマメによって30分値を取得できるようになった。住宅サービスを深める上で重要だ。「これぐらいの電気を使ってる」や「過去との比較」といったデータを提供することで、電気の使い方を評価したり反省を促したりすることも可能になる。また、次世代スマメでは、さらに細かい時間分解能のデータ取得が可能となる。これまでと比べてもきめ細やかなサービスが可能になるだろう。「高齢者見守り」といった生活支援や「エアコン温度を最適にする制御」といった省エネサービスが進む。そうしたサービスは、エネルギー事業者が直接手掛けることもあるだろうし、ハウスメーカーのケースもある。自治体と連携する動きも出るだろう。スマメによっていろいろなモデルが生まれていく。

―電力会社からするとデータが増え、運用が大変だ。

一色 細かいデータを全部サーバーにためていく考えと 、エッジ側(家側)で処理(減ら)して上側にためる。そんな2つの考えがある。恐らく有用なデータのみをためる制御の仕方が必要になっていくだろう。


ZEHへ果たす役割り インフラ輸出への期待

―省エネ法改正でZEHが進む。

一色 エネルギー資源が乏しい日本としてはエネルギー自立化を考える必要がある。しっかりと資源を調達し、同時に上手にエネルギーを消費することが大切だ。その意味でスマメとHEMSを組み合わせてZEHへ取り組むことの意義は大きい。

―ガスメーターのスマート化は?

一色 もちろん期待している。水道メーター含め一括検針に関する検討も次世代スマメでは行われている。

―日本のこうしたインフラ構築の仕組みは、世界に誇れるものなのか。

一色 われわれの研究所には海外の新興国などからも多くの見学者が訪れている。電力供給が不安定な国の政府関係者の見学もあり、スマメを通じてより詳細に電力使用実態を把握したいというニーズは海外でも関心が高いと感じている。日本の技術を海外に展開する「インフラ輸出」につながり、ECHONET Liteが海外でも活用されるきっかけになることを期待している。

いっしき・まさお 1982年東京工業大学卒、東芝入社。空調機器の省エネ技術開発、世界初のネットワーク家電システムの実用化に従事。2009年慶応大学特任教授、12年神奈川工科大学教授。22年同大特命教授。