スマメインフラを活用した生活支援 自治体連携で安心安全を実証

2024年2月6日

【四国電力送配電】

地方では過疎化や高齢化に伴うさまざまな社会課題が深刻化している。

スマートメーターのインフラがそんな課題の解決に向けて役割を果たそうとしている。

高知県高知市内から車で1時間ほどの山間に、人口5000人に満たない小さな町、仁淀川町がある。町内には四万十川とならぶ清流の仁淀川が流れ、河川の水質はその透明度から、「仁淀ブルー」と呼ばれており、この絶景を求めて多くの観光客が訪れる。ただ観光名所とは言え、他の地方の山間エリアと同様、過疎化や高齢化といった課題を抱えている。そんな仁淀川町で、地方における社会課題の解決に向けた実証が四国電力送配電と仁淀川町の連携のもと、昨年12月から行われている。具体的には、四国電力送配電が整備してきたスマートメーター(スマメ)のインフラを使って地域住民の安心や安全をサポートするものだ。

スマメは大手電力各社(現一般送配電事業者)が、国内の全需要家を対象に導入を進めてきたもの。旧式メーターとは異なり、それまで人の手によって行われてきた検針に関わる業務をIoTの技術によって行うことで効率化するものだ。日々消費する電力量データを、通信によって30分間隔で自動的に取得する。大手電力各社(一般送配電事業者)は、スマメ設置と併せて通信インフラも整備してきた。今回の実証はこの通信インフラを活用するものだ。四国電力送配電企画部の好原茂DX推進グループリーダーは、今回の仕組みを次のように説明する。

「まず各世帯に電子式の水道メーターを設置する。そして、メーターからデータを遠隔取得する際にスマメの通信インフラを活用する。水の出しっぱなしや何日間も水道が使われていない、といったデータは異常値として検知し、警報を発報して、見守りにつなげていく」

実証のスキーム図

この仕組みは住宅用火災警報器とシステム連携していることも特長である。無線通信端末を設置して、水道メーターと同様に遠隔でデータを取得し、異常時には警報として発報する。

実証は仁淀川町の別枝上地区と呼ぶエリアに住む全18世帯を対象に2024年3月まで実証する。単純な水道漏れによる異常のほか、取得するデータに基づき警報として発報するケースはどのようなものになるのか、実証を通じて警報内容の精度を高めていく。


「安心安全の暮らしを」 町の思いを具現化する

そもそも、なぜ仁淀川町で今回の実証が始まったのか。仁淀川町企画振興課の川村強係長は、こう経緯を振り返る。

「21年の冬、今回の実証地区の独居老人宅で火災事故が起きて尊い命を失った。その後、地区からの要望もあり、町としても『安全安心の生活をサポートしたい』という強い思いを抱く中、四国電力送配電から提案をもらった」。そこからは町長の後押しもあり、急ピッチでシステム構築を進めてきた。一方で、今回の実証では「地区の住民の方々の協力や理解があって初めて成り立つもの」と、川村氏、四国電力送配電の好原氏は口をそろえる。

警報は、仁淀川町役場側だけでなく近隣住民にも発報する。役場側が警報を受け取ったとしても、すぐに現場に駆け付けることができるとは限らない。近隣の住民同士が連携したほうが、迅速で確実に対応できるケースもある。そうした意味で、「住民の方々には感謝している」と川村氏は話す。3月まで続ける実証の中で、運用の仕組みを磨いていく。

㊤新たに取り付けた電子式水道メーター
㊦火災警報器とも連携している

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