「システム改革」の改革へ 電力政策のシンポジウム開催

2024年2月14日

【公益事業学会】

識者で作る公益事業学会政策研究会(電力)のシンポジウムが1月15日にオンライン形式で開催された。今回のテーマは、「電力改革トランジションの現在地と進路」。冒頭、論点提起を行った山内弘隆・武蔵野大学経営学部特任教授は、「システム改革がスタートして10年以上が経過し、電力システムを巡る環境は大きく変化した。特に脱炭素化は、当初の想定を上回る影響を及ぼしており、システム改革を改革する時代が来ている」と述べ、学識者と実務家が議論を重ねながら、改革をより良い方向へ進める必要性があることを強調した。

シンポジウムでは、①電力市場の設計の論点と今後の電力ビジネス像、②安定供給基盤確立に向けた電源投資・維持、燃料調達の姿、③再生可能エネルギー最大活用・GXと分散型電力システム―の三つをテーマにセッションを行い、脱炭素化とそれに伴う変動型再エネの大量導入が進むことで顕在化した新たな課題に対応するためのシステムの今後の在り方について、官学民の関係者が活発な意見を交わした。

官学民の関係者が意見を交わした

セッション①で大きな論点となったのは、資源エネルギー庁の有識者会議で議論が進むkW時(電力量)と⊿kW(調整力)を同時約定する「同時市場」の是非についてだ。2020年度冬期の電力需給ひっ迫時には、kW時と⊿kWの取り合いのような状況が発生し価格高騰を招いたのに加え、足元でも需給調整市場(三次調整力①、②)の調達未達や価格高騰の問題が起き、より効率的な調達の仕組みが求められている。

登壇者からは、「同時市場の機能を最大限に発揮するルールを整備するとともに、プレーヤーの仕組みに対する理解が重要になる」(谷口直行・エネット社長)、「ルールの細部については国や地域で差があるのでそれを勉強しつつ、情報発信していきたい」(小笠原潤一・日本エネルギー経済研究所研究理事)などと、前向きな意見が相次いだ。


競争モデルの転換点 〝手のひら返し〟は可能か

また、東京電力ホールディングス経営技術戦略研究所の戸田直樹チーフエコノミストは、「電力自由化の競争モデルは世界的に転換期にあるのに、古いモデルを深追いし続けるのは無駄。大胆に手のひらを返すべきではないか」と投げかけ。これに対し資源エネルギー庁の筑紫正宏・電力産業市場室長は「制度としての安定性のため手のひら返しは最低限に抑えつつ、直すべきところは毅然と直す必要がある。そのための理解を得られるよう努めたい」と応じた。