【記者通信/2月7日】23年度新エネ大賞決定 応募・受賞数が過去最多

2024年2月7日

新エネルギーに関する機器開発、設備導入、普及啓発に貢献した取り組みを表彰する「新エネ大賞」(主催:新エネルギー財団)の受賞式が1月31日、東京・有明で開かれ、過去最多の応募数83件の中から25件が受賞した。受賞数も過去最多だ。最高位の経済産業大臣賞には、パナソニックホールディングス(HD)、パナソニックエナジー、FDの3社による新たな太陽光発電導入方式の取り組みが選ばれた。次点の資源エネルギー庁長官賞は、ビオクラシックス半田、にじまちの2社による「地域バイオマス資源を活用した脱炭素型地域内循環の創出」。このほか、新エネルギー財団会長賞が20件、審査委員長特別賞が3件という結果だった。

新エネ大賞の受賞者が勢ぞろい

経産大臣賞を獲得したパナソニックHDなど3社が開発したのは、特別高圧受電の大規模工場に太陽光発電を導入する際、工事費を大幅に抑制する新たな手法だ。一般的な方式では、地絡事故が発生した際、逆潮流が起きないように瞬時に発電停止の指令を出す「地絡過電圧継電器(OVGR)」を特高部に設置することが必要。これがない場合は、大掛かりな設備改造が求められる。

経産大臣賞を受賞したパナソニックHDなど3社(赤バラのリボン)

一方、本件は2MW級の太陽光発電を自社工場に導入するに当たり、高圧側に高速作動する「デジタル式逆電力継電器」を設置することで、変電所の大幅な改造工事を必要とせず、系統事故時に求められる3秒以内の発電停止を実現した。これにより、工事費の2億円削減、工期の約1年短縮という成果を生み出した。発電設備は昨年4月に稼働を開始。電力購入契約(PPA)によって年間約2000万円の電気代削減、年間1000tのCO2削減を見込んでいる。

今回の受賞では、工事費の大幅な削減や工期の短縮化を実現する先進性、独創性ある取り組みとして高い評価を受けた。ちなみに日本全体の特高受電契約件数は約1万1200件。同様のケースで今回実証したシステムを活用すれば、スピーディーな新エネ導入促進に寄与する可能性がある。3社は、パナソニックの他工場でも同様の効果が期待されるとして導入を検討中だ。

太陽光・バイオマスが7割超 脱FIT・FIP傾向も

今年度の応募傾向として、新エネ分野のうち、太陽光分野が38件と全体の4割以上を占めた。ただ、蓄電池や周辺機器の普及に向けたビジネスモデルが多く、独創性のある新技術の開発は少なかったという。次に応募が多かった分野は、バイオマス分野で、太陽光と合わせると全体応募数の約7割を占める。ここ数年、この2分野が過半数を占める傾向が続いている。

審査委員会委員長を務めた内山洋司氏(筑波大学名誉教授)は、FIT(固定価格買い取り制度)・FIP(市場連動価格買い取り制度)に依存しない新しいビジネスが展開されたことは望ましいとしつつも、「太陽光パネルの多くは輸入品で、これでは日本の産業が育たない。もっと力を入れて普及啓発に努めていく必要がある」と強調した。50年カーボンニュートラル実現に向け、新エネルギーに係る開発技術や知見が一堂に会する「新エネ大賞」からますます目が離せない。