【北陸電力 松田社長】能登と「こころをひとつ」に 地震からの復旧・復興へ グループの総力を挙げる

2024年4月1日

2024年元旦、能登を中心とする北陸地方を最大震度7の巨大地震と津波が襲った。

損傷した電力インフラの復旧に全力を挙げつつ、財務基盤の強化、脱炭素化、新事業領域の拡大という三つの柱に注力し持続的な経営を実現する。

【インタビュー:松田光司/北陸電力社長】

まつだ・こうじ 1985年金沢大学経済学部卒、北陸電力入社。営業推進部長、エネルギー営業部長、石川支店長などを経て、2019年6月取締役常務執行役員。21年6月から現職。

志賀 元日に能登半島地震が発生し、2024年は非常に大変な幕開けとなりました。

松田 最大震度7を観測した今回の地震は、度重なる余震や降雪により能登地域を中心に家屋の倒壊や道路寸断といった深刻な被害が発生するなど、われわれがかつて経験したことのない「未曽有の災害」となりました。

当社は迅速な災害体制を敷く観点から、震度6以上で最寄りの事業所へ自動出社するルールを設けていますが、家屋の損壊など自らも被害に遭った中で、家族・親族の最低限の安否を確認した上で、多くの社員が駆け付けてくれました。幸い全ての社員にけが人はいませんでしたが、今も避難所から出社している社員もいます。

志賀 当初は被害状況の把握が難しく、対応は困難を極めたのではないでしょうか。

松田 元日の夕方に発生した地震ではありましたが、発災直後に私を総本部長とする「非常災害対策総本部」を立ち上げ、午後6時には全役員がそろって最初の対策会議を開きました。最も被害が大きかった能登エリアの事業所ともテレビ会議をつなぐことができたため、道路の損壊状況など限られた情報の中でも早い段階から現地の情報を得ることができたのは非常に良かったと思います。とはいえ、地震直後は現地に立ち入ることもままならない状況の中、陸路に加えヘリコプターや船を利用するなど、関係各所と連携しながら電力設備の巡視や点検を実施し、状況把握を行うことから始まりました。

発災直後に非常災害対策総本部を立ち上げた

設備の復旧作業に当たるのは、主に北陸電力送配電および協力会社ですが、24時間体制の燃料補給や食料・車両の手配などの後方支援を北陸電力の社員が一手に担い、自治体の復旧拠点・医療機関・福祉施設や各地域の避難所など、まずは人命に関わる場所へ優先的に高圧・低圧発電機車を配備するなど、当社グループ一体となって電気の供給再開を急ぎました。

余震や降雪などの影響で新たな停電が発生したこともあり、延べ約7万戸が停電しましたが、国や自治体、自衛隊などとも連携し道路啓開に合わせた復旧作業を昼夜問わず進め、土砂崩れや道路損壊による立ち入り困難箇所、地震・津波・火災により建物に甚大な被害を受けるなど早期の復旧が見通せない一部の地域を除き、1月中には停電は概ね解消しています。これは当社グループだけの力ではなく、協力会社の皆さんや全国の電力会社の皆さんに応援に駆けつけていただいたおかげであり、大変感謝しています。

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