【電力中央研究所 平岩理事長】システム変容で役割拡大 幅広い研究分野の知見であらゆる課題解決に貢献

2024年4月1日

エネルギーの安定供給と脱炭素社会の両立へ、電力中央研究所に求められる役割は広がるばかりだ。

さまざまなプレイヤーが電力需給などに関わり、電力システムが変容していく中で、積極的な情報発信を行っていく。

【インタビュー:平岩芳朗/電力中央研究所理事長】

ひらいわ・よしろう 1984年東京大学大学院工学系研究科電気工学専門課程修了、中部電力入社。取締役専務執行役員、取締役副社長執行役員、送配電網協議会理事・事務局長などを経て2023年6月から現職。

志賀 昨年6月に理事長に就任された所感をお聞かせください。

平岩 S+3E(安全性+安定供給、環境適合性、経済効率性)の同時追求への挑戦がわが国の重要課題となる中で、「電気事業の中央研究機関」かつ「社会に貢献する学術研究機関」である当所の役割は増しています。 当所は、これら二つの研究機関としての役割を主体的に果たし、保有する多様な専門分野の知見や技術を結集した総合力で、エネルギーの未来を切り拓く新たな価値の創出につながる研究開発を先導し続けてまいります。

就任以降、研究現場でさまざまな専門分野の研究者の説明を聞き、実験設備などを見学していますが、研究者一人ひとりの研究力の高さやインハウスの研究所としての強みを実感するとともに、培ってきた長年の研究の知見や技術の蓄積により、世界的にもトップレベルの研究成果を創出し、評価を受けていることを誇らしく思います。


洋上風力の開発に貢献 水素利活用への研究推進

志賀 幅広い分野の研究に取り組まれていますが、最近の研究トピックスを教えてください。再生可能エネルギー分野については、どうでしょうか。

平岩 再エネについては、わが国でも洋上風力発電の開発が多く計画されています。当所は、火力・原子力・送配電などの研究で培ってきた知見や技術を洋上風力分野の技術開発に活用していきます。

「地質・地盤評価、環境アセスメントに関わる技術」を洋上風力の立地・建設時の地質・地盤評価や環境アセスメントに、「気象災害リスク評価や再エネ出力予測などに活用してきた気象解析技術」を洋上風力の事業性や自然災害リスクの評価、運用・保守に必要な気象海象予測などに、また「材料分析・評価技術」を洋上風力設備の健全性評価、寿命評価などに役立てていきます。

具体的には、火力分野で培った損傷検査技術を活用し、「風車などの異常を早期検知する技術」などを開発していきます。幅広い専門分野による総合力で、洋上風力発電の導入拡大や運用保守効率化などに関する調査や技術開発、計画・設計から運用保守にわたる複合的な課題の解決に貢献していきます。

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