【日本原子力発電 村松社長】東海第二・敦賀2号で動き リプレースで貴重な資源をどう生かすか

2024年4月1日

東海第二や敦賀2号を巡り、昨年は転換点となる動きがあった。

政府が掲げるリプレース政策でも敦賀3、4号の動向が注目を集め、GXでの役割が一層高まっている。

【インタビュー:村松 衛/日本原子力発電社長】

むらまつ・まもる 1978年慶応大学経済学部卒、東京電力入社。2008年執行役員企画部長、12年常務執行役経営改革本部長、14年日本原子力発電副社長、15年6月から現職。

志賀 昨年、東海第二発電所の安全対策工事現場を視察し、大規模な工事の様子に驚きました。その後、防潮堤の鋼製防護壁基礎の施工状況を巡り、工事の中断もありましたが、原子力規制庁への説明や工期の見通しなどはいかがでしょうか。

村松 防潮堤の大部分は出来上がっており、今回判明したのは取水口の南北に設置する柱(地中連続壁基礎)に関する事象です。昨年6月、南基礎の柱の中実部を掘削したところ、コンクリートの未充填と鉄筋の曲がりが見つかりました。南側を全て掘り原因調査、対策検討を行い、南基礎の中実部の鉄筋を補強することで当初と同等以上の強度を維持できると評価したことから、2月7日、原子力規制委員会に設計および工事計画認可申請の補正を行いました。
現段階では安全対策工事は9月完了を目指していますが、状況は厳しいと考えています。

志賀 今年は女川2号機や島根2号機、柏崎刈羽7号機とBWR(沸騰水型軽水炉)がいよいよ再稼働する見込みで、東海第二も続く展開が見えてきました。

村松 恐らく今年はBWRによる電力が供給されることになり、景色が変わるものだろうと期待しています。


東海村が避難計画策定 県は実効性を検証

志賀 東海第二を巡っては広域避難計画が未策定の自治体もあります。昨秋、弊誌が東海村の山田修村長にインタビューした際、避難計画策定が最優先だと強調し、村にとっての原子力の重要性を強く認識されているようでした。

村松 昨年末に立地自治体である東海村が避難計画を公表したインパクトは大きいと思っています。周辺自治体のうち常陸太田市も策定済みで、日立市は今年度内に公表すると聞いています。引き続き地域の防災力向上に向け、事業者としての責務を果たしていきたいと考えています。

また昨年11月には、茨城県の要請で当社が実施した東海第二の拡散シミュレーション結果が公表されました。シミュレーションは、茨城県の要請に応えるため、「東海第二から30‌km周辺まで避難・一時移転の対象となる区域が生じ、かつその区域が最大となると見込まれる事故・災害を想定する」という条件を満たす結果となるよう、分散して配置している常設の安全対策設備が一斉に機能喪失するなどの工学的には考えにくい仮想条件をあえて設定しています。
今後、茨城県は、このシミュレーション結果などを用いて避難計画の実効性を検証する方針と承知しています。

志賀 他方、能登半島地震ではアクセス面の課題が浮き彫りとなり、避難に対するさまざまな意見が出ています。

村松 もともと避難計画策定の範囲は、3・11以前は10㎞圏内でしたが、福島第一原子力発電所の事故を教訓に原子力災害対策特別措置法が見直され30㎞圏内に拡大しました。また、原子炉等規制法のバックフィット措置として、電力各社は新規制基準を取り込んだ原子炉設置変更許可を得て安全対策工事を講じています。事故以降、これらの法に基づき、それぞれ保守性を持って対応を強化してきたと言えます。

能登半島地震発生後、規制委員会の山中伸介委員長は、PAZ(東海第二から半径5㎞圏内)以外では屋内退避を基本とするという考えを改めて説明しています。加えて規制委は検討チームを立ち上げ、2025年3月をめどに効果的な屋内退避の運用方法を検討することから、その動向を注視していきます。

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