【特集2】業界一丸で災害に立ち向かう 連携プレーで需要期を突破
被災地への燃料供給で奔走したLPガス業界。
ガスターミナル同士の相互支援体制生きる。
【インタビュー】上平 修/日本LPガス協会参与・事務局長
―能登半島地震の影響でLPガスの輸入基地が被災しました、発災後の対応は。
上平 ENEOSグローブグループのLPガス輸入基地「七尾ガスターミナル」(石川県七尾市)が被災したことを受けて、日本LPガス協会は1月9日に「災害対策本部」を立ち上げました。以降、資源エネルギー庁や全国LPガス協会、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を交え、会合を10 回重ね、被災地向けLPガスの供給継続と被災した関連設備の早期復旧を目指してきました。
―どういう体制で燃料を供給しましたか。
上平 被災の影響で七尾基地からの出荷が制約される中、近隣にある同社グループの輸入基地「新潟ガスターミナル」(新潟県聖籠町)からアストモスエネルギーの2次基地「金沢ターミナル」(石川県金沢市)へ内航船によるピストン輸送を行い出荷する体制を整えました。協会会員の間で締結した「災害時におけるLPガス供給に関する相互支援協定書」に基づく連携プレーがうまく機能し、冬場の需要期を乗り切れました。
―復旧の状況については。
上平 七尾基地では、2月末に被災した入出荷設備の応急的な復旧が完了し、航路の安全確認後の3月1日には輸入船を受け入れました。その後も支障のない操業を確認し、3月21日に対策本部を解散しました。
モノがあっても運べない マネジメント強化が課題に
―浮き彫りになった課題は。
上平 主要幹線道路が被災し、一時的に「モノがあっても運べない」という状況に陥りました。輸送ルートの確保は重要な課題と言えます。タンクローリーやドライバーをいかに集めるかという課題への対応も、引き続き注力していくつもりです。
―今後の災害に備えて強化したい施策は。
上平 日本には、5つの国家備蓄基地があります。その一翼を担うのが七尾基地です。各基地の役割を踏まえた上で、被災した場合の対応を事前にシミュレーションし、戦略的なリスクマネジメントを実践することが大切です。よりマネジメント力を高めたいです。
―「災害に強い分散型エネルギー」としての優位性を実感できましたか。
上平 東日本大震災と同様に実感できました。国のエネルギー基本計画でLPガスは、「災害時のエネルギー供給の最後のとりで」と位置付けられました。そうした期待に応えていきたいと決意を新たにしています。