【特集2】BCPの実効性向上のために ジクシスが取り組む平時の対策

2024年5月3日

【ジクシス】

ジクシスがBCPを意識した取り組みを進めている。

日頃から大規模災害に備えることで、社員の意識向上にもつながっている。

LPガス元売り大手のジクシスは、BCP(事業継続計画)の実効性を高めるため、平時から三つのことに取り組んでいる。

一つ目は、BCP総合訓練だ。この訓練は準備に三カ月以上を費やし、年に一度、社長や経営層に加え、供給部門に新たに配属された若手社員なども含め、多くの社員が関わる形で実施される。例えば首都直下型大地震の発生を想定し、特約店からの受注を取りまとめる東京のオーダーセンターの被災により、大阪のオーダーセンターのみで受注対応する場合をシミュレーションする。ジクシスでは平時から、オーダーセンターを東京と大阪に分散し、どちらかが被災した場合に、もう一方のオーダーセンターでバックアップ可能な体制を敷いている。

BCP総合訓練の様子

二つ目は、非常用電源と大容量蓄電池の導入だ。安定供給を維持するためのエネルギー確保は非常に重要であり、東京本社でもビル内に非常用電源を設置している。非常時にはその非常用電源から最低2日分の電力を確保している。また、オーダーセンター要員が在宅でも業務にあたれるよう、自宅に非常用発電池を配備している。

三つ目として、緊急通行車両の事前登録があげられる。大規模災害時には道路の通行規制が行われる場合がある。そのような時にもLPガス供給に支障をきたさないよう、運搬に使用するローリー車を緊急車両として警察に事前登録している。この業務を実際に行ったのは、若手の新入社員たちだ。「事前登録を行った当時、行政側が電子に対応していなかったため、彼らが全国の警察署まで直接足を運び、全国行脚という大活躍をしてくれたことで達成できた」と、人事総務部・総務チーム長の朝倉峰之氏は語る。


災害時に他社を支援 強い使命感と互助の精神

今回の能登半島地震に関しては、北陸に基地を持たないジクシスには直接的な被害はなかったが、同社が供給していた特約店の中には被災した店舗もあった。他社からのLPガスの供給が滞ったことによる協力要請に対しては、出荷基地と連携して可能な限り代替出荷の準備や対応を行った。朝倉氏は「もちろん他社からの乗り換えを期待してのことではなく、『人々の生活を守る』という事業者としての高い使命感と互助の精神によるもの」と語る。平時からBCPを意識した行動により、LPガスの安定供給維持に向けたさらに盤石な体制構築を目指す。