【特集2】災害に備えた自給自足の家 雨水を生活用水に利用

2024年5月3日

【TOKAI】

TOKAIが手掛ける電気と水を自給自足する住宅「GQ(ジーク)ハウス」。

ライフライン確保に向けた独自の工夫が光る取り組みに注目が集まる。

家づくりにおいても、今後は防災の視点が求められてくるだろう。LPガス販売大手のTOKAIが手掛けるエネルギー自給自足の住宅「GQハウス」はその先進的な取り組みと言える。この住まいは、大規模自然災害などで断水や停電が発生しても避難所に頼ることなく一定期間自宅で安心した生活が送れる設備を備えている。暮らしに欠かすことができない水の確保は、敷地内に1000ℓもの雨水タンクを備え、溜まった雨水をトイレの洗浄用水や散水などに利用する。断水が発生した時でも、トイレの洗浄用水や大量の水を使用する洗濯水を確保できるのが特長だ。オプションの小型浄水器を組み合わせることで、断水時でも生活水(飲料可)を一定期間確保できる。

GQモデルハウス(静岡県島田市)

電気については、独自の防災対策システム「スマートエルラインライト」を用意している。電力を特定5回路へ配電する分電盤装置で、停電発生時に太陽光発電や蓄電池などに給電元を切り換えることが可能。日中であれば太陽光発電からの電力を特定5回路に給電(最大1500W)。夜間など太陽光発電の活用ができない場合は、車や蓄電池などの外部電源から特定5回路へ給電できる。「電気が途絶えても、一部の照明やテレビ、スマホの充電など、最低限必要な電気を確保できる。これらと、災害に強いLPガスを組み合わせれば、避難所に行かずとも自宅で安心した生活を送ることができる」。建設不動産本部事業開発推進部の武内淳部長は、こう語る。

雨水を貯めるタンク
スマートエルラインライトの分電盤


分譲住宅の販売開始 光熱費削減もアピール

GQの新たな展開として今年1月から同社の分譲住宅へのスペックインを開始した。消費者にとっては防災面への対応に加え、再エネや雨水などの利用によって光熱費が削減できる点も大切なポイントとなる。「プランによっては年間22万円強の光熱費削減になる」(武内氏)という。大規模自然災害が頻発する中、こうした災害対応型住宅が従来にも増して関心を集めていきそうだ。