多様性推進で変わる働き方 あらゆる場面で女性が活躍

2024年5月8日

【電力事業の現場力】中部電力労働組合

男性の多くが育休を取得するなど、社員の意識変革が進んでいる。

女性活躍にも力を入れ、全ての社員が働きやすい環境を作っていく。

実質週休3日制―。ファーストリテイリングやリクルートなど大企業で広がりを見せるこの制度を、4月に中部電力が導入した。1日分の標準労働時間(7時間40分)を残りの勤務日に振り分けることで「ゼロ時間勤務日」(事実上の休日)を設定できる。月に4回を上限として使用することができる。

こうした多様な働き方と並んで中部電力が力を入れるのが、「DE&I」の推進だ。DE&Iはダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平)とインクルージョン(包括)の頭文字を取った概念で、性別や年齢、障がいの有無、性自認などにかかわらず、全ての働く仲間の活躍を目指す。

春闘集会で約1000人の前で演説する辻真理菜さん

国民民主党・浜野喜史参議院議員を訪ねる室門麻里さん

これまで中部電力の最大の使命は、電力の安定かつ安価な供給だった。現在もその使命に変わりはないが、電力データを用いた医療・介護や不動産など事業領域は多岐にわたる。近年はITなどの専門人材を登用するためにキャリア採用に力を入れており、2025年度までに年間採用数全体の20%とすることが目標だ。

女性活躍の推進では、従前、若手や主任の女性社員を対象に、キャリア形成を目的としてステップアップ研修を実施していたが、「女性を部下に持つ男性」の意識変革も必要となることから、研修の対象を男性にも拡大した。

このように研修を見直すなどして活躍している女性が、昨年度のキャリア採用で入社した、ダイバーシティ推進グループスタッフ副長の服部沙由理さんだ。服部さんの所属するチームは他社出向経験が長かった人事未経験者、4月入社の新入社員で構成されており、メンバー構成そのものがダイバーシティに富んでいる。それぞれの経験や強みを生かし、研修や社内PR活動などの取り組みを行う。

昨年度のキャリア採用で入社し活躍する服部沙由理さん


労組で女性役員が活躍 男性育休取得率100%

中部電力労働組合でも、専従者として3人の女性役員が組合員への世話役活動に従事しつつ、多方面で活躍している。本店総支部書記長の鮎川弓子さんは、連合愛知の執行役員も務め、「女性のための労働相談ホットライン」では女性が抱える悩み相談に対応した。三重総支部書記長の辻真理菜さんは、電力総連と連合三重の執行委員も兼務し、今年の春闘決起集会においては約1000人の前で演説した。本部組織教育局部長の室門麻里さんは、女性12人で構成される電力総連の女性委員会に参加し、エネルギー関連施設の視察や国民民主党との対話活動などをテーマにした勉強会を実施している。最近は女性委員会の活動内容を知ってもらうため、インスタグラムを活用している。

女性が抱える悩みの相談を受ける鮎川弓子さん

育休取得に関する男性の意識も大きく変化している。ここ2、3年で中部電力と事業会社全体での男性の育休取得率は飛躍的に上昇。経営目標として25年度に男性の育児休職取得率30%以上を掲げていたが、昨年度の取得率は100%(育児休職と育児目的休暇を含む)を達成した。労使で協調し、22年度から両立育児休職とリレー育児休職を導入したことが目標を大きく上回った要因の一つ。前者は休職期間中にも就業が可能、後者は夫婦で交互に育休を取得できる制度で、育休がより取りやすくなったと好評だ。

今後も労使が密に連携し、働きやすい環境の実現を目指す。