【特集2】ガスは日本の重要な熱源 CNと安定供給へ業界挙げ努力

2024年11月3日

e―メタン巡る環境整備 課題はコスト抑制策

―e―メタンの社会実装に向けた環境整備は進んでいますか。

内田 e―メタン普及拡大の課題の一つであるCO2のカウントルールについては、日米間で協議が進みました。今後は、米国以外の各国との間で同様の取り決めをしていかなければなりません。環境価値も証書にして取引することになりますが、こちらもルール化が進みつつあります。その一方で、導入促進策の在り方については、短期的なe―メタン導入の促進に向けて規制と制度の両面で議論がなされ、規制は高度化法による目標設定、制度は託送料金制度を活用する方向で検討が進んでいます。中長期的な導入促進策については、今後、エネルギー政策と合わせて具体的な検討が進んでいくものと認識しています。さらには、GI(グリーンイノベーション)基金などを活用した革新的メタネーションの早期実現など、あらゆる手段でコストを抑えていく必要があります。

―第7次エネルギー基本計画において、都市ガスはどう位置付けられるべきでしょうか。

内田 都市ガス利用量の6割は産業用、1割が業務用であり、この領域は非常に電化が難しい。私たちはそのCN化をどう進めるのか議論しなければならないと訴え続け、政府の中でも少しずつ理解が深まってきたと実感しています。時間軸とコストを考慮せずに電化を進めれば、安定供給性を損ないます。日本は都市ガスがなければ経済的にも社会生活の面でも成り立ちません。そういう意味でも、ガスを高度利用しCO2を減らしながらCN化を進めることは必然であり、第7次エネ基にはそれが明確に盛り込まれることを望んでいます。

 都市ガスは日本のエネルギー供給を支える重要な熱源です。CO2を減らしつつ安定供給を堅持するべく、業界を挙げて努力していきます。

うちだ・たかし 1979年東京大学経済学部卒、東京ガス入社。2009年総合企画部長、12年常務執行役員、16年副社長執行役員、18年社長を経て23年から会長を務める。24年4月日本ガス協会会長に就任。

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