GX実現へ電気加熱に熱視線 先進的な技術動向を発信
【エレクトロヒートシンポジウム】
GX(グリーントランスフォーメーション)に向け、電気を熱エネルギーに変えて加熱・冷却する技術「エレクトロヒート」が注目されている。こうした中で日本エレクトロヒートセンター(JEHC、内山洋司会長)は、「電気のチカラでGXに貢献めざせ! 世界をリードする脱炭素技術」を掲げ、第19回エレクトロヒートシンポジウムを11月1日から1カ月間、特設ウェブサイトで開催。官民の関係者が、電気加熱の最新動向を発信する。
基調講演には、経済産業省資源エネルギー庁戦略企画室の小高篤志室長が登壇し、GX2040ビジョン、第7次エネルギー基本計画の方向性を解説。徹底した省エネを前提に再エネ利用の拡大や原子力発電の再稼働を促す必要性を説くとともに、火力の脱炭素化を訴えている。その上で小高氏は、日本企業が強みを持つ加熱やヒートポンプなどの電化技術に触れ、「欧州やアジアの電化需要を取り込み、予算を付けて日本の経済成長につなげる」と述べる。
特別講演も見どころ。製造業関連の女性経営者らで構成する団体「ものづくりなでしこ」(東京都台東区)の渡邊弘子代表理事(富士電子工業社長)が、「熱処理技術におけるSDGs」や「ダイバーシティ経営の推進と具体的な取り組み」などについて語っている。また、三菱総合研究所の高木航平研究員よる、カーボンプライシング制度についての解説もある。
技術発表の視聴コーナーでは、多彩な電化技術や利用事例約10件を紹介。例えば業務用厨房機器メーカーのフクシマガリレイ(大阪市西淀川区)は、IoTで多様な機器データを一元的に管理するIoK(インターネット・オブ・キッチン)の活用事例を発表。厨房内の温度や電力消費量、衛生管理の状況を可視化し、現場の作業環境の改善につなげる。
ダイキン工業は、新型熱源機器「ヘキサゴンGX」を披露する。オールアルミ製の熱交換器を搭載し、業界トップクラスの省エネ性を実現するヒートポンプだ。加えて遠隔監視制御とシステム性能の診断サービスで効率的な運用をサポートする。
学生向けコーナーも目玉 次世代の担い手に期待
ウェブサイトには、エレクトロヒートの次世代を担う学生向けコンテンツ「エレクトロヒート業界大図鑑」も掲載。大学によるGX貢献技術の研究展示や企業の若手職員へのインタビューなどを視聴できる。JEHC担当者は「将来を担う学生にもぜひ見てもらいたい」と話している。