【北海道電力 齋藤社長】北海道をCN拠点へ 脱炭素技術を社会実装 GXビジョンを実現する

2024年12月1日

持続的な成長に向けて 人材戦略を策定

井関 元社員を再雇用するための「カムバック採用専用サイト」を開設しました。人材戦略について教えてください。

齋藤 新卒や経験者も含めて人材獲得手法の多様化を進めるにあたり、元社員をターゲットにした「カムバック採用」というルートを明確化することを目的として専用サイトを設けました。サイトに登録した元社員には、当社の情報を定期的に発信するなどして、応募いただける可能性がある層を少し長い目線で掘り起こしていくことを目指しています。

さまざまな手段で人材の獲得を目指す

今年3月に、「ほくでんグループ人材戦略(Human Capital Strategy 2024)」を打ち出しました。必要なスキルを身に付け、自律的に挑戦・変化していく人材を育成するとともに、多様な人材が互いに認め合い、働きがいと成長を感じながら、活躍することができる環境を整備することが狙いです。現在、定年年齢や考課処遇制度の在り方、人材投資や福利厚生についても変えていこうと幅広く検討しているところです。人口減少・労働力の減少に対応するため、人材に目を向けた取り組みは当社にとって喫緊の課題です。例えば、古びた社宅は若い社員に人気がありません。札幌市内など賃貸物件がある地域では社宅や寮を廃止し、賃貸物件がない地域では若い社員にも喜ばれるような魅力的な社宅を用意するなど、住環境を向上させたいと思っています。

「ほくでんグループ経営ビジョン2030」の見直しに向けた検討にあたっては、若手社員の意見を聞きながら、経営理念すら変えてしまう意気込みを持って磨き上げています。使命感を持つ若手社員も多く、そうした意見を積極的に吸い上げ、やりがいにつなげていきたいと考えています。

井関 国のエネルギー基本計画見直しへの期待・要望について、お聞かせください。

齋藤 日本が国際競争力を持つための産業構造を構築するための企業を再エネ適地に立地させる「GX(グリーン・トランスフォーメーション)ビジョン」のアプローチはとても素晴らしいと考えています。そして、最先端の半導体工場やDCが集積しようとしている北海道では、そのビジョンが先行的に実現されようとしています。GX産業立地を支えるのは強靭なエネルギーです。次期エネルギー基本計画の策定に向けては、将来の電力需要の増加を前提に、必要な供給力の確保や電源構成について議論がなされています。  その上で、再エネの導入拡大、安全性の確保を大前提に、安定供給・経済効率性・環境への適合の点で優れた特性を持つ原子力の最大限の活用が必要であり、新たなエネルギー基本計画にもそのように位置付けていただきたい。一方、需要側でも、ヒートポンプの導入拡大などを踏まえた、電化の進展の見通しなどについて明確にしていただくことを期待しています。


対談を終えて

DX時代の電力需要の増大を背景に、北電が活況を取り戻しつつある。泊の再稼働や火力の脱炭素化、再エネの拡大などに齋藤社長の鼻息は荒い。人口減少が進む中での人材確保に向け「若手が喜ぶ魅力的な社宅」の提供はユニークな試みだ。誰もが働きたくなる企業へ―。北海道、さらには日本経済の発展への貢献とグループの力強い成長の実現に向け、北電の挑戦は続く。 (本誌・井関 晶)

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