NUMOの展示が子どもに大人気 核廃棄物の地層処分を考える契機に
【エコプロ2024】
日本経済新聞社は2024年12月4~6日、東京ビッグサイトで日本最大級の環境展示会「エコプロ2024」を開催した。
持続可能な開発目標(SDGs)達成に取り組む企業や団体の展示が目白押しで、小・中学校の課外学習の現場としても人気を博した。
原子力発電環境整備機構(NUMO)は2年連続で出展。使用済み燃料の高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定を巡っては、11月に北海道寿都町と神恵内村で実施した文献調査の報告書を関係自治体に提出したばかり。現在、報告書の説明会が道内で行われている。次のステップである概要調査に進むには、2町村だけでなく北海道知事の同意が必要となるが、鍵となるのは「国民の理解醸成」だ。今回の展示会はその好機となった。
各展示では、紹介する取り組みがSDGsの何番に該当するかが示されている。例えば12番の「つくる責任つかう責任」はNUMOの取り組みにぴったりとマッチ。9番の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、11番の「住み続けられるまちづくりを」の実現も目指している。
VRでオンカロに潜入 想像以上の広さにびっくり
NUMOの展示では、地層処分の基礎知識や国内外の最新情報をクイズ形式で説明。分かりやすいイラストや展示車「ジオ・ラボ号」での解説も好評だった。特に人気だったのは、24年8月に試験操業を開始したフィンランドの最終処分場「オンカロ」の中を探索できる仮想現実(VR)ゴーグル。体験者からは「思ったより広くてびっくりした」といった声が上がった。
特に力を入れたのが、国内の調査状況を伝えるコーナーだ。地層処分に関する地域の科学的特性を色分けしたマップの展示では、来場者が自分の住んでいる地域が適地なのかを確認。また寿都町と神恵内村での文献調査の結果やそれを取り巻く北海道の状況を、大きなパネルで解説した。
来場者から多く聞かれたのは「みんなで考えなければならない問題だと思った」という感想だ。「北海道に押し付けるのではなく、大都市の人こそ考えるべきではないか」(中学生)―。選定プロセス進展のためには、こうした意識の広がりが欠かせない。
NUMOの展示には3日間で4000人以上が来場した。そのうち、小学生から高校生までの次世代層は3000人超。伊藤友宣広報部長は、「来場者が地層処分を自分事として考える機会となったのではないか。出展した意義は大きく、手応えを感じている」と力強く語った。