【特集2】電力マネジメントの時代が到来 官民一体で需要家意識の醸成へ
政府からも市場への追い風が吹いている。再エネの導入拡大を見据えて分散型リソースの導入を支援する127億円規模の事業を24年度補正予算で確保。この中にDR対応の家庭用蓄電システムの導入を補助する措置のほか、時間ごとに電力消費量を把握できるスマートメーターの活用支援などを盛り込んだ。
ただDRを身近に感じる社会づくりには、課題も少なくない。DR対応機器に求める遠隔制御など、各種機能の仕様を統一する必要がある。メーカーやアグリゲーターがネットワークに接続された機器と通信できる条件を整える対応も重要だ。
そこでエネ庁は、需要家側が保有する創エネ機器や蓄エネ機器をDRに対応させるための「DRready勉強会」を重ねている。今後も勉強会を開き、DR機能を具備した製品を増やす可能性を探りたい考えだ。担当者は「将来的にDRリソースが自立的に導入されるよう、各種機器のコストダウンを図る必要もある」と説明する。
経済的な動機付けも課題 安定供給の一翼担う存在へ
エネ庁はDRに対する消費者の理解を促すとともに、需給調整に向けて意欲的に協力するよう経済的なインセンティブを働かせるという課題も重視する。
政府の動きに呼応するかのようにエネ業界では、多彩なDR関連サービスが続々と登場している。例えば、蓄電池を用いた電力需給調整力の創出が求められる中で、東京ガスが家庭用蓄電池の充放電を制御するサービス「IGNITURE蓄電池」を始めた。将来的には、EVのDR対応を後押しする動きが進展する可能性がある。
DRは国民の利便性を高める手段となるだけではなく、電力の安定供給を支える仕組みとして存在感が増す可能性もある。こうした潮流をにらみ、本特集では、有望なエネマネ市場の開拓に取り組む各社の最新動向を浮き彫りにする。
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