【現地ルポ/4月23日】下北の原子燃料サイクル施設〈前編〉 使用済み燃料を中間貯蔵するRFSを特別取材
東京電力ホールディングスが80%、日本原子力発電が20%出資する国内初の使用済み燃料の貯蔵施設「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」(青森県むつ市、高橋泰成社長)が昨年11月に1棟目の貯蔵建屋で事業を開始した。現在は、昨年9月26日に東京電力HD柏崎刈羽原子力発電所(KK)から搬入された金属キャスク1基(沸騰水型原子炉=BWR=燃料69体分)が保管されており、今後順次受け入れを増やしていく計画だ。2011年3月の東日本大震災以降、停滞が続く原子燃料サイクル政策にとって、久々の明るい話題である。ただRFSは地元との協定で「事業開始から最長50年で金属キャスクを全て搬出」することが決まっており、1棟目については施設閉鎖へのカウントダウンがすでに始まった格好だ。KKや日本原電の原子力発電所が再稼働しないことにはRFS本来の目的が達成されないわけで、「宝の持ち腐れ」(電力関係者)とならないよう原子力事業の正常化に期待がかかる。なお、RFSでは使用済み燃料を扱うことによる安全上の理由から厳しいセキュリティ体制が敷かれており、一般の視察・見学などは広く受け入れていない中、エネルギーフォーラム取材班は4月18日に特別の許可を得て、施設内部を取材することができた。

施設完成で原子力発電の持続可能性が高まる
RFSは「中間貯蔵施設」とも呼ばれ、原子力施設が集まる青森県下北半島の北部、津軽海峡に面する海沿いに位置する。出資企業である東電HD、日本原電の両社の使用済み燃料の保管が目的だ。昨年11月に、KKから受け入れた1基目の金属キャスクについて原子力規制委員会から使用前確認証の交付を受け、事業がスタートした。
原子力関係では、2011年の福島第一原発事故の後、新しい重要施設の新規稼働はなかった。このリサイクル燃料貯蔵施設は、新規制基準の施行後に初めて運用が開始される新施設だ。しかも核燃料サイクル政策の一翼を担うものであり、事業者にとっても原子力発電の運用をより柔軟にし、持続可能性を高める重要な意味を持つ。
原子力発電で使われた使用済み燃料はこれまで、原子力発電所内の貯蔵プールや敷地内の施設の金属キャスク(容器)で乾式保管されてきた。各発電所の規模や設備、運転状況などで違いはあるものの、その保管可能な量には限界がある。RFSは、発電所の外でそうした燃料を大規模に保管する初の施設となる。東電HDと原電は、原子力発電を今後運営する際に、使用済み燃料の保管場所に余裕ができたわけで、貯蔵場所の問題に悩むことなく原子力発電所の運営が行えるようになる。さらにRFSでの安全な運営の実績、また技術や経験の蓄積は、各電力会社がこうした中間貯蔵施設を建設・運営する場合にも役立つものだ。