【中国電力 中川社長】脱炭素化をリードし産業立地を促進しつつ 地域活性化に貢献する

2025年7月1日

安定した資金調達へ 金利上昇の影響見極め

志賀 今後の資金調達戦略についてはどうお考えですか。

中川 島根3号機の安全対策投資を含むCN関連投資に多額の資金が必要となる中、資金調達環境は金利の上昇、米国の関税政策の影響もあり不透明な状況が継続しています。引き続き当社の取り組みに関して金融機関、投資家の皆さまと丁寧に対話しながら、調達手段の多様化やトランジション・ファイナンスの積極的な活用に取り組んでいくことで、安定した資金調達を行っていきたいと考えています。その点、島根3号機が初回の脱炭素電源オークションで落札し投資回収の蓋然性が高まったことは、資金調達面で非常に大きな助けになっています。

また5月には、資金使途を島根3号機に特定したトランジション・ボンドを発行し、丁寧なIR活動を実施したことで、総額400億円の調達を行いました。新設原子力を対象としたトランジション・ボンドは日本で初めての取り組みであり、多くの投資家の皆さまに原子力の必要性を理解していただき、こうした資金調達が実現しました。

今後もさまざまな情報開示と対話を積み重ねていくことで金融機関、投資家の皆さまに当社の取り組みをしっかりとご理解いただいた上で、資金調達を行うとともに、国に対しても必要なファイナンス支援を訴求し、カーボンニュートラルに向けた投資を着実に進めていきたいと考えています。

志賀 第7次エネルギー基本計画についてはどう受け止めていますか。

中川 第6次エネ基の策定以降、度重なる需給ひっ迫やウクライナ・中東情勢の緊迫化などによるエネルギー価格の高騰に伴い、エネルギー安全保障の重要性が再認識されたことに加えて、データセンターや半導体工場の建設などによる電力需要の増加が見込まれています。このような情勢変化を踏まえ、エネルギー政策と産業戦略を一体的に進め、エネルギー安定供給・経済成長・脱炭素を同時に実現するため、第7次エネ基とGX2040ビジョンが合わせて閣議決定されたものと認識しています。

この中では、S(安全確保)+3E(安定供給、経済効率性、環境適合性)の原則の下、徹底した省エネルギーと合わせ、再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用するといった、よりバランスの取れたエネルギー政策の方向性が示されたものと受け止めています。現在、脱炭素電源への投資促進に向けた事業環境整備などについて、国において議論が進められていますが、スピード感を持ちつつ、実効性の高い施策につながることを期待しています。当社としても、こうした状況を注視するとともに、電気事業を通じて、中国地域の発展に貢献していきます。

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