【中国電力 中川社長】脱炭素化をリードし産業立地を促進しつつ 地域活性化に貢献する

2025年7月1日

浮体式洋上風力が稼働 知見獲得に期待感

志賀 CCS(CO2の回収・貯留)、CN燃料など火力電源の脱炭素化の取り組みについてお聞かせください。

中川 CCSについては、30年度の導入を目指して検討を進めており、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の委託事業である「先進的CCS事業に係る設計作業等」の公募において2案件が受託されました。また、30年代のLNG火力への水素混焼、石炭火力へのアンモニア混焼の実現に向けた経済的、技術的な課題などの解決にも取り組んでいます。 具体的には、発電効率向上およびCO2排出量低減を目的として、最新鋭の発電設備に更新するリプレース計画を進めている柳井発電所2号系列において、将来的な水素混焼および専焼に向け、必要な設備の整備などについての検討を行っているところです。 さらに水素・アンモニアのサプライチェーンの構築に向けて、調達および利用の両面で経済合理性のあるものとなるよう検討を進めています。

今後再エネが増えていく中で調整力としての火力の重要性はこれからも変わりません。稼働率は落ちますが、調整力として残る部分を水素やアンモニア、もしくはCCSでどう脱炭素化するか―。2050年を見据えた取り組みについては、これから議論していきます。

志賀 4月に「ひびき灘沖浮体式洋上風力発電所」が稼働しました。30年度再エネ新規導入30万~70万kW達成に向けた今後の取り組みについては。

4月に稼動したひびき灘沖浮体式洋上風力発電所

中川  風力や太陽光などの再エネは、国産エネルギーであることに加え、地球環境負荷低減の観点から貴重なエネルギーであり、50年CN実現への有望な選択肢の一つです。特に浮体式洋上風力発電については、中国地方においても、日本海側の山陰沖に大きなポテンシャルがあり、有望視しているところです。同事業は、浮体式洋上風力に関する知見の獲得が期待できる案件であり、当社としては、 本事業での取り組みを将来の開発につなげていくことで、CNの実現に貢献していきたいと考えています。既存水力の出力増や木質バイオマスの混焼などにより、3月末には新規導入量が37万kWに到達しました。引き続き、最大限の導入に取り組んでいく考えです。

志賀 電カシステム改革の検証結果を受け、法改正を含めた新たな議論が始まります。

中川 検証の過程で行われた有識者・事業者からのヒアリングなどを踏まえ、取りまとめにおいては、今後の電力需要増加を前提とした供給力の確保や脱炭素化に向けた電源投資と系統整備に係るファイナンスを含む投資環境整備など、事業者にとって大変重要な論点と対応方針が示されたと受け止めています。 今後、詳細検討が行われますが、深い関心を持って動向を注視してまいります。

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