【中国電力 中川社長】脱炭素化をリードし産業立地を促進しつつ 地域活性化に貢献する

2025年7月1日

新経営ビジョンを検討 持続的な成長を描く

志賀 電力業界を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。そうした変化にどう向き合っていきますか。

中川 お客さまの脱炭素化ニーズの高まりや、電力需要の増加などの事業環境の変化は、当社グループが大きく成長するチャンスだと捉えています。 当社グループとして、お客さまや地域の皆さまから信頼いただくことをベースに、原子力発電所の稼働をはじめとする電源構成の低炭素化、電力・燃料のトレーディング技術の高度化、新たな料金メニュー、サービスの提供などに取り組み、持続的な成長を果たしていきたいと考えています。このようなことを念頭に、現在、新たなグループ経営ビジョンの検討を進めているところです。

志賀 最後に、今後、中国地域にどう貢献していきますか。

中川 中国地域は、鉄鋼、化学、自動車をはじめ国内有数の製造業が集積しています。ビジネス・労働人口の地域間での獲得競争が激しくなる中で、将来にわたり地域が持続的成長を果たすためにも、エネルギー事業者として、低炭素で安定したエネルギー供給体制を実現すること、さらには地域の脱炭素化をリードすることで、産業立地の維持、推進、ひいては地域の活性化に貢献することが当社の役割だと考えています。

中国地域の人口減少に歯止めをかけることは難しいかもしれませんが、他の企業や自治体と連携しながら、若い人にとって魅力のある街づくりにもしっかりと貢献していきたいですね。

志賀 地域におけるエネルギーの安定供給、脱炭素化、発展に欠かせない存在として、今後の展開に期待しています。本日はありがとうございました。


対談を終えて

2024年度決算では島根2号機の再稼働などが寄与して連結自己資本比率は15%以上への回復を1年前倒しで達成したが、毀損した財務基盤の立て直しが課題。そのため同3号機の資金調達では脱炭素電源オークションやトランジションボンド発行など工夫を凝らす。50年カーボンニュートラルへ向けエネルギーの安定供給を果たしつつ、地域の発展に欠かせない存在としての新たなグループ経営ビジョンの策定に意欲を見せる。頼もしいリーダーだ。(聞き手・志賀正利)

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