【特集2/座談会】独自の販売戦略で難局乗り切る 地域密着で顧客満足を追求
エコキュート故障に対応 目的はアカウントの獲得
中岸 ガス給湯器が壊れた時に一般的な故障対応では、まず仮のガス給湯設備を取り付けて対応するということで、恐らくガス事業者であれば皆さんできると思います。こうしたガス業界では当たり前だったお湯を出すサービスが、オール電化の市場を見渡した時にメーカーや事業者では展開されていなかったことに気付きました。
そこで、この仕組みをオール電化の方に展開しようと、4年前に「即湯サービス」を始めました。このサービスでは、オール電化のヒートポンプ給湯機(エコキュート)のみならず、灯油ボイラーの故障時にも仮の給湯器で対応します。そうしたお客さまとの出会いをきっかけに、エコキュートの新たな販売につながります。
角田 オール電化機器を販売しているのですか。
中岸 はい。4年間のサービスを通じて、お客さまと出会いさえすれば、かなりの確率でエコキュートを販売できるという手応えを感じています。また、成約率はまだ低いですが、古くなったIHコンロの買い替えといった関連購買のケースも生まれていますね。
角田 ガス屋なのだからガス給湯器を売った方がメリットが大きいはずです。
中岸 少し視点がずれるかもしれませんが、LPガスの需要量が、2050年には現状の半分の年800万tと予測する方々がいますが、個人的には楽観的な数値だと感じています。仮に需要が残っていたとしても、特殊な産業用途などに限られるのではないかと。そうなった時に、ガス屋としてガスのお客さまを増やす努力をする必要はありますが、同時にガスに限らず、お客さま自体のアカウント数を増やすべきだという感覚を持っています。極端なことを言うと、ガスの販売量がゼロになっても生き残れる会社を作っていく必要があると考えています。

角田 このサービスの課題は何ですか。
中岸 給湯設備はいつ壊れるか予兆が分かりません。要するに見込みのお客さまが分かりにくい。そこで、8月からショールームを電気・ガス・灯油のあらゆる給湯設備をそろえる給湯専門店へ衣替えしました。来場者のアカウントを取得し、種まきをしておいて、設備が壊れた時には迅速に設備の販売体制を整備したいと思っています。