【コラム/8月29日】敗戦後80年経済を考える~談話への期待は、節度ある経済運営
5、政治談話への期待
敗戦後80年の政府談話に期待する事柄はどんなことだろうか。まず政治・社会面で次の80年を見通した期待とは何か。今日、日本国憲法の3原則(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義:対米従属)に違和感はない。これに付加する理念はあるだろうか。米国の理念は、従来自治(民主主義)、人権、社会貢献(含む国際貢献)だった。重点の置き方が若干異なる。現憲法を持つ日本は、国際秩序の安定に貢献する態度で抑制的にならざるを得ない。この点をどう考えるかであろう。
経済面はどうか。政治・社会の安定を支える上で、何よりも経済が重要である。現経済の状況はどうか。水準維持ながら、最近の40年間(バブル崩壊後)を振り返れば、経済政策(財政金融政策・制度変更)の混迷で、年々雇用不安、企業活力低下、技術革新停滞、財政破綻懸念等の言葉が浮かんでは消え、再浮上している。大衆、マスメディア迎合の為政者の経済運営に難があった。現在も財政・金融政策頼りで資産価格上昇期待が継続している。
如何に立て直すか。痛みも伴うが長期的視点で、そろそろ経済の原点に立ち返ることが大切である。それは何か。繰言だが、まず経済の目的は、第一に雇用、第二に物価の安定である。何よりも働く人に安定雇用である。それは企業経営の務めでもある。経済の根本は、企業活動にある。企業は、業績不振を政府に転嫁せず、「自立自営が基本である」ことを自覚する必要がある。投資金融に阿ることなく、働く機会を作ることが経営者の責務である。そして個人は、恥の文化尊重で、福祉に頼らず、苦しくても自助(労働)で生きることが大事である。
過去を振り返れば、いつの世も政治は節度ある経済運営を尊重・実践すべきであろう。次の80年を意識すれば、内外均衡を念頭に財政破綻懸念を払拭し、そして経済維持に必要なエネ資源の確保可能な国際秩序の安定構築に努力すべきである。この旨を敗戦後80年談話の内容として期待したい。
【プロフィール】経済地域研究所代表。東北大卒。日本開発銀行を経て、日本開発銀行設備投資研究所長、新都市熱供給兼新宿熱供給代表取締役社長、教育環境研究所代表取締役社長などを歴任。