新電力プラットフォームを拡充 手厚いサポートで販売量増に貢献

2020年10月17日

【エネルギービジネスのリーダー達】深見典弘/ダイヤモンドパワー社長

創立20周年を迎えた新電力のパイオニアであるダイヤモンドパワーの社長に就任した深見典弘氏。パートナー企業の販売電力量拡大に貢献することで、さらなる飛躍に意欲を見せる。

ふかみ・のりひろ 1988年静岡大学人文学部経済学科卒、中部電力入社。2013年10月ダイヤモンドパワー取締役事務統括、16年4月三重支店営業部長、18年4月静岡支店副支店長兼電力ネットワークカンパニー静岡支社副支社長などを経て20年4月から現職。

電力の特別高圧・高圧分野の部分自由化に伴い、2000年3月に設立された新電力のパイオニア、ダイヤモンドパワー。創業当初は三菱商事の100%子会社だったが、13年10月に中部電力が株式の8割を取得すると、大手電力会社による初の新電力ビジネス、営業区域外への進出の足掛かりとなるなど、今日に至る電力自由化を象徴する一社だ。

激変する競争環境 成長の軸にアライアンス

20周年を迎えた今年、社長に就任した中部電力出身の深見典弘氏は、13年に初めての中部電力からダイヤモンドパワーへの出向者として赴任していた一人。プロパー社員とともに新電力ビジネスに携わった経験を、「状況に応じて臨機応変に計画や目標を変えながら、ライバルと競争して成果を出すという少数精鋭の営業スタイルに大きなやりがいを感じていた」と、感慨深く振り返る。

当時、新電力の競争相手は大手電力会社であり、同社としても三菱商事と中部電力とのシナジー効果で、公共入札を中心に東京エリアにおける直接販売をいかに増やすかが戦略の要となっていた。

一方で、電源調達、需給管理におけるインバランスの抑制にも腐心した。「需要と発電の誤差が3%を超えると大きな経済損失が生じてしまう。30分同時同量をいかに達成するか、プロパー社員の技術力とモチベーションの高さが印象に残っている」(深見社長)

4月からは社長としてダイヤモンドパワーの事業に再び携わることになったわけだが、小売り全面自由化を経て、新電力側から見える電力市場は大きく様変わりしたと実感しているという。

相次ぐ新規参入による東京エリアでの競争激化、安価な卸価格により取引市場調達に頼る新電力有利となりがちな状況は、調達手段が限られる中で独自電源の確保を不可欠としていた4年前までとは大きな違いだ。

競争環境が変化する中で、同社の今後の成長戦略を描くために欠かせないのが、16年に立ち上げた託送制度の代表契約者制度を活用した新電力プラットフォーム事業。プラットフォームに参画するパートナー企業の電源調達や需給管理などを同社が請け負い、必要な電力を供給するとともに、電源価格の上昇やインバランスなどのリスクも引き受ける仕組みだ。

パートナー企業にとっては、販売活動に専念でき安定した利益を得られるとあって、現在までに北関東の都市ガス会社など約50社が参画している。目標は、これを近い将来、倍増させること。そのためには、プラットフォームに参画、または参画が見込まれるパートナー企業のニーズに耳を傾け、より有効なサービスを提供していかなければならない。

既に、新電力立ち上げ支援や、目まぐるしく変わる電気事業制度についての情報提供、さらには、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度終了に伴う太陽光余剰電力の買い取りスキームなど、電力販売量拡大を後押しするサービスに力を注いでいるが、今後はさらに一歩進んだプラットフォーム事業を展開していくための新スキームにも積極的に乗り出していく方針だ。

「ローカルグリッドや電力の地産地消の実現に向けた支援、自己所有電源を活用した需要家PPS(特定規模電気事業者)事業、VPPやデマンド・レスポンス(DR)への対応はもちろんのこと、パートナー企業の家庭用のお客さまの暮らしを豊かにするようなサービスも充実させていきたい」と深見社長。

今年開設された容量市場をはじめ、新たな制度が今後も相次いで立ち上がり、事業を取り巻く環境は今後も大きく変わっていく可能性は高い。これをいかに正確に読み適切に対応していくかが、今後ますます重要な経営課題となると見ている。

新型コロナウイルス禍の影響で、3月に予定していた20周年記念式典の開催は見送らざるを得なくなり、4月以降も思うような営業活動はできていない。既存のパートナー企業とはリモートシステムを介してやり取りできるものの、新規開拓となるとどうしても対面する必要があり難しいのが実情だ。だが、「新規開拓に向け新たなアプローチの手法を模索中だ」といい、秘策はあるようだ。

培った信頼を生かし 着実な成長を目指す

自由化当初から参入し、同時同量制御の実施など困難に直面しながらも、バランスの良い電源調達と適格な需給運用体制を実現することで顧客企業との信頼関係を築き上げてきたという社員の自負は、中部電力傘下になった今も変わっていない。

「20年かけて培ってきた信頼を生かし、足元の状況だけに捉われることなく、将来を見据えた適切な電源ポートフォリオを形成し、パートナー企業とともに着実に成長していきたい」と今後の事業拡大に意欲を示した。