核燃料サイクルの意義と有用性 熱い「語り部」の養成が課題

2020年11月15日

共感呼ぶ熱いメッセージ 利点が分かる情報発信を

さらなる手掛かりを求め、原子力研究者の澤田哲生氏が著した『やってはいけない原発ゼロ』(エネルギーフォーラム)を読んだ。核のごみの最終処分場はフィンランドのように日本でも確保できるという確信を得ることはできたが、費用対効果に関する記述はなかった。

さらに、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と奈良林直・北海道大学名誉教授が著した『それでも原発が必要な理由』(WAC)も読んでみた。奈良林氏は「化石燃料はせいぜい200~300年しかもたない。人類は必ず原子力に頼らざるを得なくなる。再処理後の高レベル放射性廃棄物のガラス固化体技術は完成しており、フランスにできて日本にできないことはない」と述べ、処理技術に大きな説得力を感じたが、費用対効果の詳述はなかった。

ここまで探ってみて、結局、コミュニケーターならば知っておくべき「確実で分かりやすい意義と費用対効果のデータ」がなかなか見つからないことを感じた。説得材料という武器を持たずに、誰かを説き伏せることはできない。

六ヶ所村に新たに転換工場ができ、核燃料サイクルの体制が自立すれば、青森は世界最先端のエネルギー都市になり得ると思うが、当の青森県が熱く未来を語ってくれていない印象を感じる。サイクルの意義と有用性を熱く語る「語り部」がもっと出てくることが必要だ。人々の共感を呼ぶのは、自信にあふれた熱きメッセージだ。関係者はもっともっとメリットが分かる情報を発信してほしい。

こじま・まさみ 1951年生まれ。愛知県立大卒業後、毎日新聞社入社。松本支局などを経て、東京本社・生活報道部で主に食の安全、健康・医療・環境問題を担当。食をテーマとして活動するジャーナリスト集団「食生活ジャーナリストの会」代表。東京理科大非常勤講師。

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