【記者通信/10月30日】自民党議員が海洋放出に反対 東電の公表資料が根拠に

2020年10月30日

「政府が処理水(汚染水)の海洋放出の方針を示すことには反対です!」。自民党の総合エネルギー調査会会長代理を務める山本拓衆院議員が10月中旬以降、自身のホームページやSNSで、福島第一原発の処理水の海洋放出に反対する意向を繰り返し表明している。

「通常の原子力発電所の排水には、トリチウムのほか、Mn-54、Fe-59、Co-58、Co-60、Ni-63、Zn-65が含まれています。しかし、福島第一原子力発電所のタンク内の処理水(汚染水をALPSで処理した水)には、それ以外にも事故由来の57核種が含まれています。加えて、処理水を海洋放出に際して二次処理したとしても、事故由来の核種は低減こそすれ、完全に除去することはできません。東京電力が処理水の海洋放出について通常の原子力発電所の排水と同じであるかの説明をしていますが、それは事実ではありません。通常の原子力発電所の排水には含まれていない事故由来の57核種が含まれています」(10月28日)

「東京電力が、主要7核種とストロンチウム89の計8核種について、処理水を二次処理の試験を行った結果を発表しました。その結果、二次処理後も6核種(うち5核種は通常の原子力発電所の排水に含まれない核種)が検出されました。二次処理をしても、事故由来の核種はなくなる訳ではなく、残り続けており、それを海洋放出することは、通常の原子力発電所の排水を同視することはできず、風評被害の拡大を招くこととなるとみられます」(10月29日)

山本議員が反対の根拠にしているのが、ALPS設備の一次処理水(http://yamamototaku.jp/wp-content/uploads/2020/10/63halflife.pdf)のみならず、二次処理水の中にも、ストロンチウム89・90やヨウ素129など事故由来の核種が複数残存していることだ。東京電力ホールディングスが10月15日に公表した「多核種除去設備等処理⽔の⼆次処理性能確認試験結果(速報)」(https://www.tepco.co.jp/decommission/information/newsrelease/reference/pdf/2020/2h/rf_20201015_1.pdf)で明らかになった。ごく微量とはいえ、トリチウム以外の事故由来の核種が検出されている事実は、「通常の原発排水と同等」という従来の見解との食い違いを見せている意味で、確かに無視できないだろう。健康などへの影響は本当に大丈夫なのか、しっかりとした説明が求められる。この問題が解消されない状況下で海洋放出を実施すれば、風評被害を増長させる恐れがあるうえ、韓国など周辺国の反発も一段と強まりかねない。山本議員は、小早川智明・東電HD社長に国民への説明を求める一方、SNSでこう述べている。

「今は海洋放出を行うべきではありません。タンクが満杯になる予想に対しては、タンクに代え、処理水を100年の耐久性を持つと言われる超高強度繊維補強コンクリートボックスに処理水を保管し、サイト内に地中設置することで、海外からの意図的なものも含めた風評被害を当面回避することができます。その上で、福島県が放射性廃棄物置き場とならないよう、事故の経験を活かし、トリチウム水を限りなくゼロにまで分離する技術をはじめとする、原子力の平和利用に関する研究開発を行うイノベーション・セキュリティ研究・情報等の拠点として位置付けるべきと考えます」

海洋放出への地ならしを進める政府・自民党、経産省・東電にとって、にわかに垂れ込めてきた暗雲。今後の動向から目が離せない。