再エネ開発50万kWを目指す 達成に向けて新組織も発足

2020年12月9日

【四国電力】

菅義偉首相が2050年カーボンニュートラルを宣言するなど、再生可能エネルギーの重要性は増している。四国四県の暮らしを支える四国電力は、再エネ電源開発量50万kWに向けてさまざまな取り組みを行っている。

欧州を中心に環境投資が活発化する中、菅義偉首相は2050年までにCO2排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言した。さらに世界最大のCO2排出国・中国も60年までにカーボンニュートラル達成を目指すと表明。世界各国で脱炭素社会の構築に向けた活動が加速し始めた。

電力に対する考え方のパラダイムシフトが巻き起こる中、民間でも自社で使用する電気を再生可能エネルギーで賄う「RE100」に注目が集まっている。環境に配慮した経営に関心を寄せる経営者は多い。

再エネを求める声が日に日に高まっている中、四国電力はグループ全体で太陽光、風力、水力などの再エネ電源を、30年度までに国内外で50万kW導入・開発する目標を掲げている。

同社の2000年度以降の再エネ電源開発量は、国内外全体で約17万kW(20年9月末時点、共同事業は発電所出力に対して、同社グループの出資比率分を開発量として計算)。これまで行ってきた再エネ開発の取り組みや50万kW目標をどう達成するのかについて、再生可能エネルギー部開発推進室の立川貴重室長、事業開発室国際事業部の矢野博嗣事業開発ユニットリーダーに話を聞いた。

30年ぶりの新規水力も 海外で洋上風力に出資参画

四国電力が国内で開発した再エネ量17万kWのうち、最も古くから活用しているのが水力だ。

2000年度以降、既設発電所の出力増強などを実施し、20年9月末時点で約3万kW増加。増強工事は主に設備修繕のタイミングに合わせて行われており、水圧鉄管を流れる水を羽根車(ランナー)に導くケーシングや、水のエネルギーを発電機に伝えるランナーを効率の良い物に交換した。

こうした既存設備の更新だけではなく、水力での取り組みについて矢野氏は「ダムの維持流量を活用した発電や、発電余力のある設備の取水量を増加させることで出力を増やすなど、既存インフラを最大限活用しながら進めています」と説明する。

さらに愛媛県久万高原町では、「取水施設から発電所まで1セットでの開発としては約30年ぶりとなる水力発電所新規開発」(立川氏)も計画。出力は1900kWで、着工は21年を予定している。

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