【記者通信/1月22日】再エネのアセス緩和は必要!?風力でも乱開発拡大の恐れ

2021年1月22日

菅義偉首相が宣言した2050年カーボンニュートラルを実現すべく、昨年12月1日に行われた再生可能エネルギーの導入拡大に向けた課題を整理する専用タスクフォースで、河野太郎規制改革相は風力発電所への環境影響評価制度(アセスメント)の基準緩和を環境省に要請している。

そもそもアセスメントとは、道路、空港、発電所、ダムなどの大規模開発を行う際、周辺に住まう鳥獣など環境面に及ぼす影響を、開発事業者が事前に調査する制度。動植物の保護や、地域住民に対する説得材料としても重要な制度であり、発電所では一定出力以上の火力、水力、原子力、太陽光、風力などが対象となっている。

では今回、なぜアセスメントの規制緩和を求めているのか。それは、アセスメントにかかる期間があまりにも長いため、①長期間の調査費用で建設コストが増える、②電力系統の利用申し込みを行う前に容量がいっぱいになってしまう、③建設までに時間が掛かるため設備導入が進まない――といった理由が挙げられる。会合では、風力発電事業者で構成される風力発電協会、および自然エネルギー財団が現在風力発電所にアセスが必要となる発電所の規模要件「1万kW」を、「5万kW」に引き上げるよう規制緩和を提案していた。

環境アセスの緩和が求められている風力発電

河野氏の要請を受け、環境、経産両省は1月21日、「再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会」を開催。会合には、参考人として風力協会、自然エネルギー財団、日本自然保護協会、日本野鳥の会、愛知県、北九州市が出席。それぞれの立場から意見を述べた。

日本自然保護協会、日本野鳥の会は昨年12月15日に規制緩和に反対する共同声明を発表しており、理由として「現行の出力要件でも風力発電によるバードストライクが頻発していること」などを理由に挙げている。また日本自然保護協会は「そもそもアセス制度は規制ではなく、手続き法。環境調査が地域住民との発電所建設に向けた合意形成に役立っている部分もあり、実施期間の短縮は合意形成がないがしろにされるのではないか」と話している。

実際、導入が一挙に進んだ太陽光発電所にはアセスメントの要件が課されていない(風力発電所のアセスカバー率は98.6%)。このため、事業者と地元住民の間でトラブルが絶えず、自治体も対応に苦慮しており、環境省や経産省は事業者向けにガイドラインを策定するに至った。「規制緩和すれば、風力でも乱開発が進み、地域住民とのトラブルや環境破壊が起きている太陽光発電の二の舞になるのでは」との指摘は的外れではないと言える。

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