【四国電力 長井社長】電力の安定供給と魅力あるサービスで四国の発展に寄与する

2021年3月1日

電化の推進へ 技術開発を加速

志賀 脱炭素化を進める上であらゆるエネルギーが電気に変わる可能性があります。脱炭素・電化の取り組みを通じて、御社の社会的価値が大きく向上することが期待されます。

長井 温暖化防止や電化の取り組みが大きなビジネスチャンスになることは間違いなく、当社としても、「電化の推進」「電源の低炭素化」という需給両面での地球温暖化防止対策と、電力産業としての進化・発展が両立できるよう主体的に取り組んでいきます。そのためには、電気エネルギーのさらなる活用に向けた取り組みが不可欠であり、特に蓄電池・EVの普及などによる電化のさらなる推進、VPP(仮想発電所)など低炭素電源を有効活用できる技術の開発を加速させる必要があります。

四国総合研究所、三菱電機と共同でEVの充放電制御技術実証に取り組んでいる(社員の通勤にも利用する実証用EVバス)

志賀 事業の多様化をどのように進めていますか。

長井 今後、一段と加速する事業環境の変化を見据えると、これからは電力事業一本足ではなく、事業の多様化を図っていくことも重要です。グループの枠を越えたさまざまなコラボレーションを通じて、電力のみならずその他のサービスや社会システムなどを取り込みながら、お客さまニーズに合った魅力的なサービスを生み出し、お客さまに選ばれ続けるよう、さらなる変革・成長を図っていきたいと考えています。 

 一方、時代や社会の変化に応じて事業形態が変わることはあっても、四国地域に貢献するという当社の基本的使命はいささかも変わるものではありません。四国地域の皆さまの「しあわせのチカラ」になるために何ができるのか、改めて「地域と共に生き、地域と共に歩み、地域と共に栄える」という経営理念に立ち返り、将来の四国電力グループのあるべき姿を思い描きながら、さらなる飛躍を目指します。

志賀 通信子会社のSTNetに象徴されるように、デジタル技術にも積極的に取り組んでいますね。

長井 電力事業とAI・IoTといったデジタル技術が融合することで、業務のデジタル化や多様なサービスが創出されることが期待されています。またデジタル技術の発展は、四国経済の活性化にも寄与できるはずです。例えば、四国で生活しながら、東京にいるのと同じように情報を得て仕事ができるようになるかもしれません。当社としてもデジタル化の推進に努め、その成果として四国地域がブラッシュアップできるよう全力で取り組んでいきたいと思います。

志賀 コロナ禍など若い社員はなかなか将来を見通せない状況にあると思います。社員に向けてメッセージをお願いします。

長井 今はコロナの感染拡大もあり、社会全体が閉塞感の中にあります。ですが、こうした暗い状況の中にもデジタル化を進める大きなチャンスが潜んでおり、そうした明るい可能性を捉えて新たな価値の創造に挑戦してもらいたいと思っています。そのためには、これまでと同じようなやり方で粛々と仕事を進めるのではなく、新しい発想で仕事そのものを変えていくことも大切です。

 年初のあいさつで、3つのCとして「CHANGE(変化)」「CHALLENGE(挑戦)」「COLLABORATION(新しい組み合わせ)」を心掛けて仕事を進めてもらいたいと社員に向けてメッセージを送りました。将来を明るく捉え、今を是とせず前向きにチャレンジしてもらいたいですし、より良く仕事を進めるためには社内外との連携は欠かせません。私自身も社員とともにそれを心掛けながら歩んでいきたいと思っています。

志賀 四国経済の活性化は、御社の成長なくして実現できません。今後に大いに期待しています。

*本対談はリモートで行いました。

対談を終えて:新年早々からの電力ピンチでは陣頭指揮を執り乗り切ったが、改めて痛感したことは、電源種のみならず火力燃料のベストミックスの重要性。これをもとに温室効果ガス実質排出ゼロをどう達成するかは、これまでの取り組みの延長では達成できないチャレンジングなものと意欲を見せる。脱炭素化はイコール電化・デジタル化と認識し、電気エネルギーのさらなる活用に意欲的。社員には、コロナ禍の閉塞感の下でこそチャレンジをと、新たな価値創造に挑戦している。この姿勢はご本人の性格そのもの。(本誌・志賀正利)

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