【マーケット情報/3月12日】欧米原油上昇、需給緩和観が台頭

2021年3月15日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、米国原油の指標となるWTI先物と、北海原油の代表であるブレント先物が、需給緩和の見込みを背景に下落。一方、中東原油の指標となるドバイ現物は、前週比で上昇した。

米国の週間原油在庫は、寒波に見舞われたテキサス州で生産が再開したことで増加。また、米エネルギー情報局は、原油価格の上昇を背景に、今年および来年の国内産油量に上方修正を加えた。さらに、リビアは今年の終わりまでに、産油量を2012年以来の最大にする方針を示した。他方、クウェイトとオマーンは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、入国規制を延長。供給増加の見込みと燃料需要回復への不透明感が、WTI先物とブレント先物の重荷となった。

一方、ドバイ現物には、中東の情勢悪化による供給不安が強材料として働いた。イエメンを拠点とする武装勢力フーシが7日、サウジアラビアの石油関連施設をミサイルで再度攻撃。サウジアラビアは、それを迎撃したと発表した。

また、米国の新大統領は、ベネズエラの原油輸出に対する制裁を直ちに解除する意向はないと表明。加えて、同国大統領は、1.9兆ドルの新型コロナウイルス追加経済支援を承認。経済再建とワクチン普及にともなう石油需要増加への期待感が高まり、ドバイ現物を支えた。

【3月12日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=65.61ドル(前週比0.48ドル安)、ブレント先物(ICE)=69.22ドル(前週比0.14ドル安)、オマーン先物(DME)=67.91ドル(前週比ドル1.50高)、ドバイ現物(Argus)=67.90ドル(前週比1.51ドル高)