【コラム/4月12日】2020年度の棚卸と21年度に向けて

2021年4月12日

加藤真一/エネルギーアンドシステムプランニング副社長

2020年度が終わり、2021年度が始まった。

20年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い、生活や働き方のスタイルが一変する1年であった。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだ予断を許さない状況であることに変わりない。そして、エネルギー業界の世界も大きな変化があった年度であった。

そこで、今回は20年度を振り返りつつ、21年度以降の特に電気事業に関する制度設計について簡単に書いていくこととする。

20年度の大きな2つの動き

まず、20年度には大きく2つの動きがあった。一つは、6月に成立・公布された「エネルギー供給強靭化法」。もう一つは10月に菅首相の所信表明演説で出された「2050年カーボンニュートラルの実現」。

前者は、電事法、再エネ特措法、JOGMEC法の束ね法として、エネルギーセキュリティの確保、レジリエンス強化、再エネ大量導入に向けた各施策が盛り込まれている。

この法律は22年4月に施行(一部、前後するもあり)されるため、20年度の夏以降、具体的な制度設計が進められている。

後者は、成長戦略の柱として経済と環境の好循環を掲げ、その中でグリーン社会の実現に最大限注力することを目的に発出されてものである。これにより、政府は新しい成長戦略を立て、そのもとで、投資促進、経済成長を目指していく。すでに成長戦略の14の重要分野について2050年までのロードマップや目標が出されている。エネルギー分野でも洋上風力や蓄電池といった分野で産業ビジョンや導入目標が議論、整理されてきている。

新たに浮き彫りになった課題

こうして大きな政策・方針のもとで走り始めた日本のエネルギー業界であるが、12月中旬以降に起きた電力需給におけるkWh不足と、それに端を発した卸電力取引所価格の断続的な高騰により、市場設計の在り方に課題が投げかけられた。

3月末までに事象の検証・報告がなされ、新電力に対してインバランス料金および再エネ特定卸料金の分割支払い措置が実施されている。

制度設計については、情報公開や供給力確保、リスク管理、セーフティーネットの在り方等の論点を取り上げ、現時点においても議論は継続中である。

この4月で電力小売全面自由化から6年目が始まる。まだまだ市場は成熟しておらず、丁寧かつスピーディーな制度設計、措置を取ることが求められるだろう。

20年度に整理されたこと(3月28日時点)

ざっと20年度に整理されてきたことを以下に挙げてみる。

・エネルギー基本計画見直し

第6次計画は今年夏頃に策定となるが、現状の整理、2050年目標、2030年の政策といった順に議論が展開され、現時点では2050年のシナリオ分析と関係者ヒアリングを踏まえた2030年の政策策定が並行して進展している。

 ・カーボンプライシング

従前より環境省の小委で検討、中間整理されていたが、経産省の研究会を加え、あらためて議論が始まっている。まずは国内外の情勢、検討の視座を整理し、複数ある手法(炭素税、クレジット、国境調整など)の状況確認、想定される枠組みが議論されている。

 ・非効率石炭フェードアウト

第5次エネ基に織り込まれた内容だが、本格的に議論が始まったがの昨年7月の梶山経産大臣の会見以降。方向性としては、省エネ法による規制的措置、容量市場等と整合した誘導措置、一部の大手事業者に対するフェードアウト計画の策定の三本柱で議論が進み、方向性が纏まりつつある。

・再エネ特措法改正

強靭化法に盛り込まれている再エネ特措法改正の諸施策について、詳細設計が整理された。具体的には、FIP・地域活用電源の各種要件、太陽光パネル廃棄処理費用の外部積立、長期未稼働案件の失効要件、交付金の返還等になる。これらは今年夏頃には省令等が改正される予定である。

・容量市場

24年度分メインオークション実施・約定結果公表から、次回以降の入札のあり方について見直しの議論が始まっている。供給曲線の設定、入札価格の事前確認制、オークション回数の2段階化、維持管理費用設定の明確化、小売への激変緩和、非効率石炭退出の誘導措置など整理が進むが、こちらは内閣府のタスクフォースでもゼロベースでの見直しとの意見が出ており、まだ完全に決着はついていない。

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