【特集2】再エネ電気を有効活用 新時代の系統運用が可能に
2021年6月3日
【東京電力パワーグリッド】
設備容量90万kWの増強を果たした東西連系線。これにより多くの電力を他地域に融通することができるようになり、電力ひっ迫が発生するリスクが低減する。
加えて、昨今は太陽光を中心とした再生可能エネルギー電源が全国各地で急増しており、顕著に増加する地域では、事業者に出力制御をかけなければならないほどに再エネ電源が余っている。東西連系線を活用し、こうした地域の電気を大需要地に送ることで、再エネ電気を余らせずに有効活用することにもつながる。
東京電力パワーグリッド技術統括室広域系統計画グループの元木啓明マネージャーは「新設備により運用の柔軟性が高まり、今年4月からスタートしている需給調整市場にも活用されます」と期待を語った。
これまで再エネの出力変動は各社管内を中心に制御していた。しかし地域間の電力グリッドを増強し、再エネや電気需要ピーク時に各地方電力同士でこれまで以上に自由な融通が行えるようになれば、複数のグリッドを一つにまとめて需給バランスを制御する全体最適化にもつながっていく。
新信濃FCや飛騨信濃直流幹線の整備は、再エネ時代に対応した未来のグリッド網を築く上でも象徴的な工事といえるだろう。