【記者通信/7月2日】日本側関係者も強い関心 北極海航路で日ロ対話

2021年7月2日

ロシア国営原子力企業「ロスアトム」が主催する北極海航路についてのセミナーが6月24日、都内でオンライン、オフラインの2形式で開催された。

地球温暖化による北極海の氷減少、北極海で産出される石油・天然ガスなどの輸送、また大型原子力砕氷船の就航などロシア側の注力により、欧州から東アジアに至る輸送ルートとして北極海航路に関心が高まっている。

セミナーは、ロシア側が航路開発の展望などについて説明し、日ロ間の対話促進を目的とするもの。ロスアトム北極開発特別代表のウラジミール・パノフ氏、ロスアトムカーゴ代表のアレクサンドル・ネクリュードフ氏など、航路開発に関わる幹部が講演を行った。日本側からは、商船会社、商社、また国土交通省、経済産業省などの関係者約200人が参加。ロシア側の説明の後、質疑応答が行われ、日本側関係者の強い関心がうかがわれた。

モスクワ本社から参加するロスアトム幹部ら

ロシア側は、北極海航路の貨物輸送量は2020年末の約3300万tから24年に8000万tにまで増加すると予測している。ロスアトム副社長・北極海航路局長のヴャチェスラフ・ルクシャ氏は「新しい輸送幹線の創設は、私たちのさまざまな共同プロジェクトに追加的なチャンスを与えてくれるだろう」と、航路の開発・利用での日ロ間協力への期待を語っている。スエズ運河を通過する南回り航路の代替ルートとして、今後、日本企業がどう対応していくか注目されそうだ。