【マーケット情報/9月10日】原油混迷、方向感を欠く値動き

2021年9月13日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、強弱材料が混在し、各地で方向性を欠く値動きとなった。米国原油の指標となるWTI先物と、北海原油を代表するブレント先物が小幅上昇。一方、中東原油の指標となるドバイ現物は、前週から小幅下落した。

米国メキシコ湾における生産は、12日時点で依然49%が停止。半分程度の生産設備が引き続き、ハリケーン「アイダ」の影響を受けている。石油会社Shellは、多くの買い手に対しフォースマジュールを宣言した。また、生産停止を受け、先週の国内原油在庫は減少した。

さらに、リビアでは政情不安で、一部輸出港からの出荷が停止。加えて、OPEC+の8月産油量は前月から増加したものの、増産目標には届かず。カザフスタンにおける生産設備の定修が背景にあり、欧米原油の強材料となった。

一方、中国は、原油の戦略備蓄を放出すると発表。国内の製油所などが直面する、原油等のコスト高に対応するとしている。具体的な数量や時期は明らかになっていないが、供給増加の見方が広がり、ドバイ現物の重荷となった。

また、新型コロナウイルス変異株の感染拡大で、経済の冷え込みと石油需要後退への懸念が根強い。日本では、一部地域の緊急事態宣言を、9月末まで延長。需要の弱まりを受けたアラムコは、アジア向けの10月積みターム契約価格を引き下げた。

【9月10日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=69.72ドル(前週比0.43ドル高)、ブレント先物(ICE)=72.92ドル(前週比0.31ドル)、オマーン先物(DME)=71.01ドル(前週比0.38ドル安)、ドバイ現物(Argus)=70.71ドル(前週比0.50ドル安)