【特集2】激甚化する災害の備えは万全か 電力・都市ガス供給をバックアップ

2021年10月3日

【I・T・O】

都市ガスエリアの防災減災に寄与するのがI・T・Oの「BOGETS」だ。LPガスと組み合わせることで都市ガスと電気の復旧に寄与する。

LPガスの分散型エネルギーとしての特長を生かし、都市ガスエリアの防災・減災に寄与する設備がある。I・T・Oが販売する「BOGETS」だ。このシステムは、あらかじめ備蓄しておいたLPガスを活用して都市ガスと同じ燃焼特性を持ったプロパンエアーガス(PAガス)と電気を作り出すことが可能だ。

BOGETSを備えておけば、災害などで都市ガスの供給停止や停電などが起きても一定期間ガスと電気を確保することができる。ライフラインが寸断された状況にあっても、ガス空調や厨房用のコンロ、シャワー室の給湯器などもそのまま使用できるので、熱中症や風邪予防が図れるほか、温かい料理の提供も続けられる。

BOGETSはPAガス発生装置の「New PA」、発電機、耐震LPガススタンド、都市ガスとPAガスを切り替える「ワンウェイロックバルブ」で構成されている。タッチパネル式制御盤により誰でも簡単に操作が可能だ。モニターに表示される手順と音声案内で簡単に都市ガス仮復旧できる仕組みとなっている。LPガス発電機で電源を確保することで、New PAに電力供給するほか、非常用電源としてスマートフォンの充電や照明など避難時の最低限の生活支援に役立つ。

足立区の小中学校に導入 シリンダー1400本を設置

このシステムは、足立区の小中学校に採用されている。激甚化する災害への対応を目的に91校に設置された。LPガスは東京都のLPガス会社、富士瓦斯がシリンダー約1400本を供給している。富士瓦斯は、事業継続に関するISO22301を取得するほか、東日本大震災発生後、LPガス災害対応コンソーシアムを立ち上げるなど、LPガスの防災への関わりについて、長年取り組んできた事業者だ。

富士瓦斯の津田維一社長は「今後、政府の2050年カーボンニュートラル宣言によって電化が進んでいきます。しかし、災害への備えを考えたとき、一つのエネルギーに頼るのは好ましいといえません。万が一の備えとして、LPガスはBOGETSのような設備と組み合わせることで電気や都市ガスのバックアップができます」とLPガスの重要性を強調する。

LPガス単独としての役割に加え、このような設備と組み合わせれば、ほかのエネルギーに柔軟に変換できる点を多くの人に知ってもらうと、LPガスの存在感はさらに高まっていくだろう。