【特集2】レジリエンス性能さらに高まる 調整力電源としての役目も

2021年10月3日

【パナソニック(エネファーム)】

新型エネファームはLPWA搭載で利便性を高めた。10月からは本州の寒冷地向けにLPガス仕様も販売する。

近年、頻発する大災害によって分散型エネルギーとして見直されているLPガス。組み合わせることで、さらにレジリエンス性能が高まる機器として注目を集めているのが、家庭用燃料電池「エネファーム」だ。

中でも、パナソニックが今年4月に発売した第7世代機は、従来に増してレジリエンス性能を高めた仕様になっている。

特徴的なのは、セルラー方式のLPWA(省電力広域無線通信)機能を標準搭載していること。同機能でレジリエンス性能が飛躍的に向上している。具体的には、停電発電に備えた待機モード「停電そなえ発電」を付加した。エネファームがウェザーニューズ社のWxTechサービス「停電リスク予測API」を受信すると、自動的に停電そなえ発電に切り替わる。実際に停電が発生した場合は停電発電を継続し、停電が発生しなかった場合には通常運転に戻る。

また、同機能では、深夜など通常エネファームが運転を停止している時間帯に停電が発生した場合でも、停電に備え発電に切り替わっていれば、外部電源による再起動が不要で、停電発生時でも電気を利用できる。

第7世代の「エネファーム」

LINEで遠隔操作 使用状況を見える化

LPWAの搭載によって、エネファームの利便性も向上した。同社は、エネファームの遠隔操作に対応するLINE公式アカウントを活用したサービス「LINEのエネファーム」の提供を開始した。遠隔操作に加え、家庭の電気やお湯の使用量といったエネルギーの使用状況が、スマートフォンで確認できる。発電に関する情報や、電気・お湯などの使用量、使用料金の目安を、気軽にLINEのトーク画面で確認できる。また、ガス遮断時でも浴槽にためて入浴できる量のお湯を賄うヒーター給湯機能を搭載し、レジリエンス性能を高めた。

LINEのエネファーム画面

今年6月からは関西電力と東京ガスとともに、エネファームを活用したVPP(仮想発電所)実証に参画する。最大3000台規模のエネファームを対象に、LPWA通信によって群制御するシステムの各種技術検証を実施し、電力需給バランスの調整など、電力市場での活用を目指すもの。同社燃料電池企画部の浦田隆行部長は「補助金を頼らず、ビジネスとして成立させる志を持って取り組みます。LPガス顧客の多い地方の分散型電源として、再エネの調整力として脱炭素社会に貢献するものにしたい」と意気込む。エネファームの特長を生かし、さらなる価値創出にまい進する構えだ。

このほか、本州の寒冷地向けにLPガス用エネファームを10月1日から発売した。第7世代機をベースに、凍結予防仕様を強化。設置環境温度下限マイナス15℃の寒冷地でも使用可能とした。浦田部長は「LPガスは寒冷地にお客さまが多いです。今回、LPガス仕様にして、全国展開していきます。また、標高800mまで設置可能にしたことで、設置可能世帯が約2割の増加が見込まれます」と販売拡大に期待する。