【インフォメーション】 エネルギー企業の最新動向(2021年12月号)

2021年12月14日

【東京電力ホールディングス他/災害時の再エネ利用拡大実証】

東京電力ホールディングス、東京電力エナジーパートナー、ヨークベニマルの3社は、再エネや電気自動車(EV)などを活用した災害時向けの電力供給システムの実証を始めた。「V2X機能付きマルチPCS」と呼ぶシステムを搭載していることが特徴だ。これは直流電源として太陽光発電や蓄電池、EVを接続し、各種電気機器に交流電気を供給する。ヨークベニマルの茨城県内のショッピング店舗を防災拠点に位置付け、停電が長期化する場合に備えて蓄電池の残容量を監視したり、近隣の電力融通が可能なEVの充電量などの情報を取得することで、非常時における電力の安定供給性の可能性を検証していく。非常時の再エネ利用の拡大にもつなげていく。

【JERA他/碧南火力でアンモニアの小規模利用】

JERAとIHIは、JERAの碧南火力発電所(愛知県碧南市)5号機で、燃料アンモニアの小規模利用試験を開始した。両社は今年6月から2025年3月までの約4年間、NEDOの助成を受け、大型の商用火力発電機で燃料アンモニアの大規模な利用を行う実証事業に取り組んでいる。24年度に4号機でアンモニア20%混焼を目指す。今回の5号機での燃料アンモニアの小規模利用は、4号機での大規模混焼に用いる実証用バーナーの開発を目的としたもの。バーナー全48本のうち2本を試験用に改造し、材質の違いによる影響や実証用バーナーに必要な条件を調べる。使用するアンモニアは約200t。同発電所敷地内の脱硝用アンモニアタンクから5号機の試験用バーナーに供給する。

【IHI/大型アンモニア受入基地の開発へ】

IHIは大型のアンモニア(NH3)受け入れ基地の開発に着手した。国内ではNH3を火力発電に利用する期待が高まっており、2050年には現在の消費量の30倍となる年間約3000万tの需要が生じると言われている。同社はこれまで培ったNH3の受け入れ・貯蔵技術を拡充することで、輸入する大量のNH3を効率的に受け入れるインフラを早期・低コストで確立したい考えだ。受け入れ基地の開発のため、燃料NH3の大量需要が見込まれる地域を想定し、運用と防災に関する設計条件の検討を開始。保有する腐食に関する知見や材料についての実験技術を利用して基地の大型化を進める。25年ごろの開発完了を目指す。LNG級となる大型NH3貯蔵タンクの開発にも着手している。

【住友電気工業/米国海底電力ケーブルが完成】

住友電気工業と住友電気U.S.A.は、米国アラスカ州の海底電力ケーブル更新プロジェクトが8月に完成したと発表した。両社は同州の電力事業者Southeast Alaska Power Agencyから海底電力ケーブルシステムの設計、調達、建設を含めたEPC契約を受注。同州ランゲル近郊のヴァンク島とウォロンコフスキー島を結ぶケーブルを既存の138kVOFケーブル(油浸紙絶縁ケーブル)から環境保全性に優れた69kVのXLPE(架橋ポリエチレン)ケーブルに更新した。

【ヤンマーエネルギーシステム/複数の再エネで脱炭素】

ヤンマーエネルギーシステムは、「琵琶湖カントリー倶楽部」で、ゴルフ場としては日本で初となるカーボンニュートラルを今年度中に実現する。太陽光発電や木質チップを燃料としたバイオマスボイラーで施設内のエネルギーを供給する。ヤンマーの独自技術によるエネルギー制御システムで、CO2を削減する。大阪ガスから新設の非FITを中心とした再エネ電気を活用。さらにJクレジットを使うことで、実質CO2ゼロを実現する。この技術をもとに、同社はCNによるエネルギーサービスを目指す。

【大阪ガス/タイ衣料工場でガス転換】

大阪ガスのグループ会社である大阪ガスタイランド (OGT) 社は、パルファンテキスタイル社と、ガス供給の契約を結んだ。パルファン社がタイで操業している衣料品製造工場向けにCNG(圧縮天然ガス)として供給する。工場で使用している石炭だき水管ボイラーを高効率なガスだき貫流ボイラーに交換し、温室効果ガスを削減する。OGTは、工場へのCNG供給設備とガスだきボイラーの設置工事を進め、来年7月からの供給開始を目指す。CNGはトレーラーを活用して供給する。OGT社にとって石炭からの転換は初。

【商船三井他/アンモニア燃料の大型輸送船を開発へ】

商船三井は名村造船所(大阪府大阪市)、三菱造船とともに、大型のアンモニア(NH3)郵送船を共同開発することで合意した。船舶の燃料もNH3を採用する。NH3は燃焼時にCO2を排出しない次世代のクリーンエネルギーとして火力発電所での石炭混焼利用や、水素キャリアとしての活用を中心に今後大規模な需要が見込まれている。カーボンニュートラルを実現する有力な選択肢として位置付けられており、2030年に300万t、50年に3000万tの年間需要が想定されている。こうした需要増に応えるべく、同社は大型輸送船を開発して社会の脱炭素化に貢献する。NH3を主燃料とする船舶用主機関は開発中であり、発注に向けて3社が協業体制を取り早期の導入を目指す。

【シーメンス・ガメサ/日本法人を2022年に設置】

風力発電機大手のシーメンス・ガメサは、日本市場における事業戦略説明会を実施し、2022年に日本法人を設立する構想を明かした。現在の日本拠点は支店の位置付けだが、22年2月に「Siemens Gamesa Renewable Energy株式会社」を設立する。日本支店を株式会社化することで、国内で進められる洋上風力発電所開発などに対応するべく運営のスピード化を図りたい考え。ラッセル・ケイト支店長は「洋上・陸上風力ともに日本市場の1位を目指す」と意気込んでいる。

【日本ガイシ/ベルギー拠点にNAS電池】

日本ガイシはドイツの化学メーカー、BASFのベルギー・アントワープ拠点に納入した電力貯蔵用NAS電池がこのほど運開したと発表した。BASFの子会社BASF New Business GmbHから受注。NAS電池は最大出力1000kW、容量5800kW時で、コンテナ型NAS電池4台で構成されている。アントワープにあるBASFの統合生産拠点で電力網に接続された。

【ENEOS/米国で高効率ガス火力が運開】

ENEOSは米国子会社を通じて15%の権益を取得する米オハイオ州のサウスフィールドエナジー天然ガス火力発電所が運転を開始した発表した。同発電所は、出力約118万kWの高効率ガスタービンによるガスコンバインドサイクル方式を採用。発電した電力は、米国最大の卸電力市場であるPJMを通じて、米国北東部各州の需要地に供給される。

【ニチガス/神奈川にデポステを開設】

ニチガスが神奈川県相模原市に、県内で3地点目となるLPガス物流拠点「デポステーション」の運用を始めた。同社にとって18番目のデポステとなる。貯蔵量は80tで、主な配送エリアは相模原市、東京都町田市、山梨県上野原市・大月市。画像認証技術で容器のトレーサビリティを実施するゲートを設置。今春完成した「夢の絆・川崎」から出荷することで物流コストを抑えた。「(デポステを)ほかのLPガス事業者と共同で利用する体制を整えている」としており、他社の配送コストの削減にもつなげていく。