【コラム/12月6日】再エネのグローバルスタンダードとローカライゼーション

2021年12月6日

渡邊開也/リニューアブル・ジャパン株式会社 執行役員 管理本部副本部長兼社長室長

2021年10月に第6次エネルギー基本計画が閣議決定され、また、英国のグラスゴーでは10月31日から11月13日まで、約200カ国・地域の代表が集まり、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催された。

COP26の成果文書である「グラスゴー気候合意」が採択され主な合意としては、①気温上昇を1.5度に抑える努力を追求②必要に応じて22年末までに30年の削減目標を再検討③排出削減対策の取られていない石炭火力の段階的削減へ努力④先進国による2020年までの年間1000億ドル資金目標が未達成であることへの多くの途上国からの批判――といったところだ。

地球温暖化に対して世界各国がそれぞれの利害を超えて取り組んでいくというのは、言わずもがな地球温暖化対策に向けた取り組みがグローバルスタンダードになるということかと思う。更にその具体的な手段として再生可能エネルギーの普及を図るというのもグローバルスタンダードと言ってよいだろう。

その一方で、グローバルスタンダードを実現するためには、「ローカライゼーション」が大切になってくると考える。

ところでローカライゼーションとは何だろう? 一番ピンと来るのは言語だろう。フェイスブックやツイッターは、それを使う人の言語に対応していないとなかなか普及しない。私もフェイスブックは知人のフランス人に紹介されて英語版しかない時に使い始めたが、やがて日本語対応してから、日本国内で一気に拡がっていったと思う。また天気予報のアプリはスマホの位置情報と連動して、自分の住んでいる地域や旅行先の天気予報が見られる。これもローカライゼーションで、新聞の地域紙面や地域情報誌、ポータルサイトの表示や求人広告の表示が地域限定で出るのもローカライゼーションだ。挙げだしたらきりがない。

その点で、ある意味第6次エネルギー基本計画もローカライゼーションと言えると思う。

私がどうしてローカライゼーションを話題にするのかというと、「最近の脱炭素社会に向けての論調の中に、日本という観点でのローカライゼーションはあるのか?」「開発にあたって地域におけるローカライゼーションを意識する観点が具体的にあるのか?」ということを思ったからである。

例えば風力発電の場合、発電所のメンテナンスは、風車の製造会社が手掛けるのが一般的だ。しかし、その製造会社はほぼ全てが外資系企業であり、日本はあくまでone of themの市場だ。果たしてどこまでローカライゼーションをしてくれるのだろうか? 日本の気候や土地柄(景観なども含めて)風車を開発しようというインセンティブは働くのだろうか?

先日、たまたま日本の風力発電を研究されている方のお話を聞くことができたのだが、私の記憶が正しければその方は風速30-40m/秒でも発電する風車で、大きさも大きくない中小型風車を研究しているとのことだった。また太陽光発電所をデジタルに運営管理するソフトウェアの開発をしているスタートアップの会社とお話をしたが、元々は数百MW規模の発電所をデジタルマッピングして管理していくというコンセプトで開発していたのだが、日本では低圧が多いので、そういう規模の小さい発電所をデジタルで一元管理するというニーズがあるとのことだった。

エネルギーというのは人々のインフラなので、資本の理論だけでなく、地域の特性も踏まえて開発するということを改めて意識すべきではないだろうか?

COP26の開催に合わせて化石賞をいただいたという脱炭素の推進で欧米に対して気後れし、グローバルスタンダードという名のもとに進めるのではなく、テクノロジーの進化はよりカスタマイズできることにあると考えるのであれば、四季折々の姿がある気候、国土の約7割が森林、少子高齢化が進む人口構造や地域の過疎化等々、再生可能エネルギーの普及に際しては、ローカライゼーションを意識していくべきではないだろうか?

出典:https://www.env.go.jp/press/files/jp/117098.pdf

「気温1.5度内追求」COP26閉幕、石炭火力は段階的削減: 日本経済新聞 (nikkei.com)