「経営ビジョン2・0」を発表 地域・社会の持続的な発展に貢献

2022年2月8日

【中部電力】

中部電力は事業環境の激変に対応するべく、2050年の社会を見据えた「経営ビジョン2・0」を発表した。
また市川環境HDの株式取得も実施。脱炭素・循環型社会の実現に向けた取り組みを加速させる。

脱炭素化に向けた政策の加速、新型コロナウイルスの感染拡大による生活様式の変化、DXの進展―など、ここ数年のエネルギー業界は激しい変化の波にさらされ続けている。

2021年11月、中部電力はこうした事業環境の激変に対応するため、18年3月に策定した経営ビジョンを更新し、「中部電力グループ 経営ビジョン2・0」を発表した。

経営ビジョン2・0は、50年に目指すべき社会像を、「脱炭素」化された「安心・安全」な「分散・循環型」社会と想定。グループの人財一人ひとりの成長・活躍が企業価値そのものであり、その推進が地域・社会の持続的な発展に貢献するとの理念に基づき、「2030年までに実現すること」をより明確化した。

林欣吾社長は、「人財戦略を強化するとともに、技術開発および多様なアライアンス先との連携・共創を一層推進し、全てのステークホルダーの皆さまとともに、持続的な成長を実現していきます」と話している。

社会システムを脱炭素化 再エネ目標を320万kWに

経営ビジョン2・0では、「地域・セクター(インフラ)と共生・連携したエネルギーシステムおよび社会システムの脱炭素化」を新たに掲げている。具体的には、再生可能エネルギーの拡大、原子力の最大限の活用、火力発電における水素・アンモニアの混焼、省エネソリューションの展開など、あらゆる領域で脱炭素化への取り組みを加速していく。特に再エネは、30年ごろに向けた拡大目標として、これまでの目標(200万kW)より一歩踏み込み、320万kW以上を目指す。

30年に向けては、事業領域の拡大とビジネスモデルの変革にも取り組む。具体的には、主力事業であるエネルギー事業に加え、不動産事業、資源循環事業などへと事業領域を拡大する。同時に、これらの事業間を相互につなぐプラットフォーム領域や、データを活用した付加価値の高いサービスの提供を実現するアプリケーション領域での取り組みを加速し、ビジネスモデルを変革する。全ての領域で、地域社会・お客さまの多様なニーズに合ったソリューションをタイムリーに届けていく。

林社長は、「これからもお客さまや社会に必要とされる企業グループであり続けるため、お客さまや社会が求める価値を起点に新たなサービスを創出し、エネルギーとともにお届けするビジネスモデルへの変革に中部電力グループの人財一人ひとりが取り組んでいきます」と意気込んでいる。

連結経常利益2500億円の達成に向けては、21年度から30年度までの10年間で1兆円程度の戦略的投資を実施する方針。グローバル事業に4000億円程度、再エネ事業を中心に4000億円程度を投資するなど、戦略的投資を加速し、バランスの取れた利益ポートフォリオの実現を目指す。

事業環境の変化を踏まえて経営ビジョンを更新

市川環境HDの株式取得 循環型社会実現を推進

経営ビジョン2・0で掲げた「循環型社会の実現」に向け、中部電力は21年12月、大手機械メーカーであるクボタとともに、資源循環事業を展開する市川環境HDの株式の27・8%相当をそれぞれ取得したと発表した。

市川環境グループは、廃棄物処理事業を資源循環事業に高めるべく、バイオガス発電やプラスチックリサイクルなどの先駆的な取り組みを展開しており、業界で高い評価を得ている。

一方、クボタグループも、廃棄物処理に関わる技術・製品に加え、国、地方公共団体などが運営する処理施設の設計・施工や運転、メンテナンスの受託などの事業を有している。

中部電力とクボタは、「両社が有する豊富な経営資源と市川環境グループの資源循環事業に関する豊富な実績・知見などを相互に組み合わせることで、循環型社会の実現に向けた取り組みを強力に推進していきます」としている。

中部電力グループは、50年に向けた「地域・社会の持続的な発展への貢献」のため、経営ビジョン2・0で掲げた取り組みを着実に進めていく構えだ。

資源循環事業に新たに参画