【特集2】燃料電池開発の一大拠点に 産官学連携で事業化推進

2022年3月3日

【山梨大学】

長年、水素・燃料電池開発を進めてきた山梨大学。現在は県内企業の実用化に向けた取り組みをサポートする。

山梨県では産官学を挙げ水素・燃料電池の実用化に向けて取り組んでいる。もともと山梨大学では燃料電池開発が盛んであり、1978年に燃料電池実験施設を設置。2008年には「燃料電池ナノ材料研究センター」を設立した。同センターは大学の領域を超えた①燃料電池の試作、②触媒や電解質材料の開発、③劣化機構の解析――などが行える。加えて、産官学連携でも重要な役割を果たしている。

センター内で試作した燃料電池を評価


15年6月には、山梨県、山梨大、やまなし産業支援機構が「やまなし水素・燃料電池ネットワーク協議会」を発足させた。協議会では、県内企業向けに技術講座を実施する。山梨大をはじめ民間企業からも講師を招き、県内企業を中心に延べ約120人が受講。水素・燃料電池の設計開発に必要な知識を習得した。


17年から5年間は、文部科学省の地域イノベーション・エコシステム形成プログラムで地域企業と燃料電池関連の産業化を目指して開発を進めている。電動アシスト自転車に燃料電池を搭載するシステムなどの開発にも取り組んでいる。飯山明裕センター長は「県内企業との連携をさらに深め産業化をサポートしていきたい」と話す。水素・燃料電池産業の裾野を広げる取り組みは、今後も積極的に行われる予定だ。