【特集2】RE100を目指した燃料電池実証 工場での再エネ活用ロールモデル

2022年3月1日

【パナソニック】

パナソニックは4月から「RE100」実現に向けて燃料電池を使った実証を開始する。使用する純水素型燃料電池は発電効率の高さなどが各方面から注目を集めている。

国内外のさまざまな企業がRE100への取り組みを加速させている。この流れを受け、パナソニックは今年4月から、自社工場で使用する電気を再生可能エネルギー100%にするべく、純水素型燃料電池を用いた実証を開始する。

同社草津工場(滋賀県)に隣接する土地に、5kWの純水素型燃料電池100台分(500kW)と太陽光発電(約570kW)、余剰電力を蓄えるリチウムイオン蓄電池(約1100kW時)、燃料電池向けに液体水素タンク(7万8000?)を設置。草津工場内にある燃料電池工場の製造部門の全使用電力をこれらの設備で賄いながら、各設備を連携して最適な電力需給運用を行うための検証を実施する計画だ。

草津工場の隣接地に燃料電池などを置く

燃料電池はベースロードで運転する計画で、事前のシミュレーションでは燃料電池が8割、太陽光が2割を賄うことになりそうだ。太陽光発電は天候によって発電量が変化するため、晴天時は太陽光からの発電を優先して消費し、曇天時は蓄電池から電力を供給して夜間に燃料電池の運転量を増やして充電した上で昼間活用する。

発電効率は56% 連結して需要規模に対応

燃料電池は昨年10月に発売した「H2 KIBOU」を使用する。基幹部品となる燃料電池スタックは家庭用燃料電池コージェネ「エネファーム」と共用化しており、安定した発電性能を有する。発電出力は5kW。モノジェネでの発電効率は業界最高の56%、熱を利用したコージェネでのエネルギー効率は95%に達する。さらに今回の実証のように、複数台を連結制御することが可能だ。

H2 KIBOU

「需要規模に応じて発電出力を調整できるのが大きな特長です。さまざまな用途のお客さまにご提案できると考えています。50年脱炭素化の盛り上がりによって、昨年から純水素型燃料電池の導入に関心を示す企業が増えています」。スマートエネルギーシステム事業部水素事業推進室の河村典彦課長はこう話す。

パナソニックでは、今回の実証を工場のRE100実現に向けたロールモデルとして、国内外に広くアピールしていく。さらに、グループ全体でRE100を推進しており、工場などへの採用に積極的に取り組む構えだ。