【マーケット情報/4月29日】原油上昇、需給逼迫感が台頭

2022年5月2日

【アーガスメディア=週刊原油概況】

先週の原油価格は、主要指標が軒並み上昇。需給逼迫の見通しが強まり、買いが優勢となった。

ドイツは26日、ロシア産原油への依存率を、ウクライナ侵攻前の35%から、12%まで低減させたと表明。完全な禁輸措置に向けて、ロシアからの調達削減を進めている。スイスを拠点とするエネルギー商社トラフィグラは、ロシア国営石油ロスネフチからの原油調達を、5月15日までに停止すると発表。また、欧州石油メジャーBPとシェルは、ロシア産原油を原料としたジェット燃料を、購入の際の条件から除外した。

こうした欧州諸国の動きを受け、ロシアはアジア太平洋地域、特にインドと中国へ向けた供給を増加させている。ただ、同国の4月1~29日における原油およびコンデンセートの生産は、3月と比べて減少している。

ロシアからの供給減少に加え、需要回復の見込みも需給を引き締めた。インドの国営製油所は4月中、最大出力で稼働。新型ウイルス感染拡大防止のための移動規制が緩和されたことが背景にある。また、欧州の製油所も、軽油の精製マージンが過去最高となったことを受け、稼働率を引き上げている。

一方、中国では、上海や北京など一部地域でロックダウンが続く。経済活動の冷え込で、石油需要が一段と後退するとの予測が広がり、価格の上昇を幾分か抑制した。

【4月29日現在の原油相場(原油価格($/bl))】

WTI先物(NYMEX)=104.69ドル(前週比2.62ドル高)、ブレント先物(ICE)=109.34ドル(前週比2.69ドル高)、オマーン先物(DME)=103.08ドル(前週比1.89ドル安)、ドバイ現物(Argus)=105.96ドル(前週比0.83ドル高)